活動報告(令和3年度6月24日)

生命論第6回の授業は、京都女子大学の霜田求先生に来て頂き、「生命操作について」の講義を受けた。キメラハイブリッドにより緑色に光る猫、遺伝子改造、異種移植、ゲノム編集を中心にお話を聞いた。

①遺伝子操作で緑色に光る猫は、緑色蛍光タンパク質を挿入することによって光る。この技術は、がん細胞を光らせることができるため、特定の病気に関わる細胞を発見できる。しかし、今の技術で人体に応用するのは厳しい。人体に、この蛍光タンパク質を挿入すると、何が起こるかわからないからである。

②遺伝子操作によって、長時間走り続けることができ、食べても太らないというマラソンマウスを作ることに成功した。これは、糖尿病や肥満の治療にも役立つかもしれない。一方で、遺伝子ドーピングに悪用されることも考えられる。

③出産に関わるホルモンのオキシトンの働きを抑制すると、マウスの行動に様々な異常が起き、オスは攻撃性が高まることが分かった。これにより、虐待をする親にオキシトンを投入すると、虐待の防止につながるかもしれない。

④異種移植では、異種間での新たな病原体は感染する危険や、動物保護の声も大きいため、細胞のみを注入して神経を再生させる方法や、動物の細胞を用いた人口臓器の研究が試みられている。そして、豚の胎児にiPS細胞を移植し、この胎児に人間の膵臓を作らせる計画を立てている。しかし、この実験でパーキンソン病アルツハイマー病などの脳の神経系の病気の患者にこの実験を用いると、その患者の人格を変容させることにつながりかねないことが危惧されている。

⑤ゲノム編集は、現時点では安全面や倫理面から、その受精卵で子どもを誕生させることは認められていないが、受精卵の遺伝子改変により遺伝病の予防につながることも期待されている。しかし、ゲノム編集によってできる赤ちゃん、いわゆるデザイナーべビーは親の意図が体に刻み込まれているということになる、それは、倫理的にどうなのかという議論がされている。

以上のように、今回は生命操作について、その技術に期待されていることや、それが予防につながる場合もあること、一方で、それが人間の本来のあり方に反するかもしれない可能性についても学んだ。今研究が進められている技術は、メリットがはるかにリスクを上回るということが確認されるまでは人間に応用されないそうだ。今後もこのような技術の発展に注目していきたい。

 

 

 

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