生命論第14回 3C36
10月11日 遺伝子と生命
霜田先生は生命論の最初のほうの授業で扱った「近未来想定問答」を書かれた先生です。また以前は救命救急にも携わっておられました。 今回は、新聞などに掲載された遺伝子にかかわる記事や遺伝子ビジネスがされるようになったこと等について教えていただき、私たちに考える材料を与えてくださいました。
以下、※は霜田先生のお話の抜粋など、それ以外は記事のまとめなどです。
1.遺伝子と疾患
関連記事(1):肺がんを発症しやすい体質かどうかに影響する遺伝子の個人差を発見
研究成果は肺がんの早期診断などに役立つと期待されるが世界保健機関の研究チームは弱
い点を指摘し認めなかった。
(2):2型糖尿病の発症に深くかかわる遺伝子を発見
「この遺伝子だけが問題ではないが、変異のある人は生活習慣の見直しに積極的に取り組む
ことによって、発症予防につながる可能性がある」
※このように「遺伝子と○○」のような関連はどんどん見つかっており、月に1~2度関連記事が出るそうです。
2.遺伝子診療:遺伝カウンセリングの事例
(a)結婚前:自分は血縁者の持つ知的障害の原因遺伝子の保因者ではないか?生まれてきた子に発症しない
よう先に調べて、もし保因者なら婚約を解消しよう
※特定の遺伝子とは限らない。しかし特に地方などで差別を受けることも
(b)着床前:第一子の持つ染色体異常の可能性が第二子にもあるなら体外受精をして疾患の可能性の無い胚を
選んで出産しよう
※命の選別につながる。禁止している国も
(c)出生前:血縁者に精神疾患のある人がいるが、自分の子にうけつがれ無いか。もし可能性高ければ中絶する
※もうすでに根付いてしまっているが正確な数は把握できていない。
(d)発症前:祖父と父が同じ臓器のがんで亡くなっているから、自分もなるのではないか。もし同じ遺伝子を持っ
ているなら「太く短い人生」をエンジョイしよう
※診断前はそんなつもりがなくても自殺してしまう例(米)も。高額の保険金をかける、人生設計、、、
3.遺伝子ビジネス
ネット上で、自分の口中粘膜などを送ることにより体質(遺伝パターン)を(がんや糖尿病のなりやすさ、薬の副作用、太りやすさ、など)調べてもらうビジネスがある。DTC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー:消費者直販)遺伝子検査と呼ばれる。
さらに、コンビニ等でも「DHCの遺伝子検査 ダイエット対策キット」として肥満関連遺伝子を調べ体質にあった効率的ダイエット方法を見つけると書かれたものが売られているが、これらは医療機関を通しておらず、また有用性が科学的にも証明されていないので信頼してはならない。
遺伝子美容液 いまどきの最先端美容事情
遺伝子美容液 「ランコム ジェニフィック」 紫外線に壊された遺伝子を、これを塗るだけで修復!
※そんなわけありません。外からぬったものによって遺伝子が修復されるというのは生物学的におかしい。
4.遺伝子と能力・行動
・記憶力のよしあしを左右する遺伝子発見
・長時間走り続けることが出来食べても太らない「マラソンマウス」
・遺伝子操作などでオキシントン(愛情ホルモン)の働きを強めれば、猛獣もせいかくを変えてペット動物に改良 できるかも
といった記事が出されている。これらは新しい薬やビジネスにつながるかも知れないが、「遺伝子ドーピング」等悪用される可能性もある。
5.遺伝子と性格:血液型性格分類
これは日本人特有の考えだということは、もう広く知られていることだと思うが、企業の新規採用試験で血液型が問われることが有ったらしい。しかし血液型と性格の関連を裏付ける統計データは得られていない。
※人間は何か(お金、宗教、占い、、)にすがるきらいがある。キリスト教など一神教では他の神の存在を認めないが、日本など多神教では他が共存可能であるため、血液型信仰(こんな言葉存在しませんが)が広がったのではないか。
6.遺伝子と教育
生徒の遺伝子を調べて能力別クラス編成が将来的に行われるかもしれない。それについて科学者や作家の発言がある。
※遺伝子と能力に関係があるが、環境・社会要因で変わるから、そちらも重視すべきである。
更新が遅くなり本当にすみません。
遺伝ビジネスがすでに始まっていると知り驚きました。科学的に証明されていないのに・・・。技術はよくないように使われる可能性があるので、日常的に慎重に物事を判断する必要が有るなと感じました。
余談ですが、早速最近の新聞に載っている週刊誌の広告で見つけました。
「長寿遺伝子の測定で余命が分かります 遺伝子を活性化させる方法 一覧表つき」
ぜひ読んでみたいです。