第13回Part2 iPS細胞が変える医療(校外活動)

高橋政代先生の講演

高橋先生は去年話題になった、iPS細胞を用いた網膜の臨床研究・治療をされている方だ。まずはじめに、世の中には「変えたい人」と「変えたくない人」がいて、変える力を持っているのは高校生だと言葉を残された。
高橋先生もまた、アメリカで研究員を務められた後PADに似た症状を経験した。当時、臨床医からは「網膜は再生できないものだ」と言われ、基礎研究医からは「元どおりにはできっこない」と言われていた。しかし、この時先生は「どちらの意見も少し知識が足りていないのでは?」と疑い自分の研究を進めていった。

先生によると、ものを考えるとき2パターンの人がいる。①単純的な時間軸で考えるタイプと②Abductionなタイプだ。①は過去→現在→未来と順番に考えるが、②では未来を出発点として現在について考える。高橋先生は②のタイプの傾向があり、未来A・未来B・未来Cといった様々な未来から可能性や必要なことを探っていいる。

今回の網膜も治療には様々な項目が必要だ。基礎研究→応用研究→実用→臨床研究→治療→事業化。このプロセスを順々にやっていては間に合わないと、メディアへの理解・網膜疾患治療の技術・ビジネス面などを並行して進めている。この中で研究医があまり関心を向けないビジネス面の勉強が大切だと念をおされた。

現在の医療のルールは主に欧米が作っているが、iPS細胞については日本でルールが作られ始めている。薬事法が日本で改正されビジネスがしやすくなると、世界から日本に多くの企業が進出してくるのではと期待している。

最後に高橋先生は、若い人たちには変わらないものを受け入れる寛容変わるものを変えようとする勇気、そしてその二つを取り違えない英知が大切だと講演を締めらえた。


パネルディスカッション

講演の後質問コーナーが行われました。休憩の間に質問要旨が回収され、司会者が選んだ10名程度の生徒がマイクで自分の質問をお二人に聞きました。
大教大天王寺で当たったのが私でした。まさか当たるとは思わなくとても緊張しました…
山中伸弥教授が学生時代に経験された出来事で、今に繋がることは何かありますか?」という質問に、山中伸弥教授は柔道部での合宿や、文化祭で間違えてギターを弾いていたなどのコミカルなお話とともに、当時の経験から堪えることを学んだど答えて下さりました。

最後のメッセージとして、山中教授は、いいことばかりではなく気付かないことも多いが長い目で応援してほしい、そして頑張ったら成功するとは限らないが成長できると残された。高橋先生は、周りの人や情報に流されずに新しいことに挑戦し続けてほしいと残された。



○感想
 実は、私が山中伸弥教授の講演をじかに受けたのは始めてだったのでとてもいい経験になった。いろんな話をテレビや新聞で聞いていたのだが、まさかノーベル賞をとった大先輩に質問までできるとは思はなかった。
 山中伸弥教授の講演からはV&Wを持つことを教わった。明確なVを持っていたからこそ進むべき道筋がはっきりと見え、そしてWのおかげiPS細胞の発見にいたったことに改めてすごいことだと感じた。私も将来やりたいことはぼんやりとは決まってきているのだが、もっとしっかりとしたVを探し、そしてWを励みたいと思う。
 高橋先生の講演で印象に残ったのが、様々な未来から現在を見て必要なことを並行してやることだ。難しいと言われていた臨床研究を否定されても諦めず、進み挑戦された姿からは学ぶことが多かった。
 全体を通して、ノーベル賞を受賞されるような人にも、やはり辛いこと、認められないことがあり、それでも自分が決めた道を曲げない信念があったのだと感じた。そして私も様々なことを感じることができ、少しは成長できたかもしれない。


以上、校外学習の模様でした。本当に更新遅れて申し分けございません。このフォーラムの模様は9/20の読売新聞に掲載され、私たちの中から一人のメンバーのインタビューが載りました。微糖でした。

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