生命論第3回『生命操作について』

生命論 第3回 4月26日

テーマ『生命操作について』

今回の授業の流れ
1.本を読む
2.各自の持つ意見を交流、議論

文章で取り上げられていた6つの想定について、順に議論を行った。

1.『着床前遺伝子診断と胚選別』
種々の疾患の発病に関わる遺伝子型の特定が可能となった想定。遺伝性の重い病気を抱えた夫とその妻が、体外受精で作製した複数の胚のうち、診断によって発病リスクの低い健康な子を得ようとするケース。

2.『ドナー・ベビー』
ある夫婦の子どもが重い血液の疾患で余命数年。子どもの治療のために、もう一人子どもを作り、造血幹細胞を移植しようと考えた。体外受精で作製した複数の胚のうち、遺伝子診断でもっとも組織適合性の高いものを妊娠・出産・移植をするケース。

3.『胚への遺伝子治療
体外受精によって操作可能になった胚に含まれる疾患の発病に直接関与する遺伝子を、部分的に除去したり、正常な遺伝子に置換ができる想定。代々遺伝性の乳がん遺伝子を持つ妻とその夫が、体外受精によって作製した胚に対し遺伝子治療を施し、健康な子を得るケース。

4.『デザイナー・ベビー』
特定の遺伝子型と身体の機能・形態および知的能力などの表現型との相関関係が解明され、意図的に胚への操作(除去、付加、組み替え、置換)が可能な想定。胚への操作を商業化した『デザイン・ベビー』ビジネスの提供するサービスを利用して、優秀な子を作ろうとする夫婦のケース。

5.『クローン・ベビー』
細胞核移植ヒトクローン作製技術の開発が進み、『不妊治療』目的で導入後、未受精卵の提供や代理出産を含めた『クローン・ベビー・ビジネス』として一部の国で合法化されている想定。恋人を事故で亡くした女性が、その恋人の体細胞によるクローン・ベビーを依頼し、シングルマザーで育てたいというケース。

6.『人工子宮』
体外受精で作製した胚を母体外に着床さて、『妊娠・出産』を代行する人工子宮が開発された想定。キャリアウーマンが、恋人との間で体外受精卵を作製し、人工子宮サービスを利用して、子を得ようとするケース。

この6つの中で、もっとも1の意見が割れた。発病リスクの低い胚を選ぶことは良いことであるという意見が多い中、胚の選択の自由があってよいのかどうか、障がいのある人をゼロにするのは生物的多様性が損なわれるのではないか、などの意見があった。また議論の中で、胚の人権はどうなのかという話題も出てきた。

まだ17、18歳ということもあり、子どもを授かりたい気持ちがどのようなものかはっきりとはわからない。しかし、自分たちならどうか、この人の立場からはどうかと、様々な想像をして意見をまとめ、議論ができたと思う。

最後に、不妊治療の技術がビジネス化され、日常的に機械的・商業的な生命の神秘『妊娠・出産』が行われることについては、全員一致で『反対』という意見だった。

61期3A29 記