生命論シンポジウム yossy

2.生命倫理・・中絶胎児の利用について
          土屋 貴志さん

 今日は、土屋さんはお仕事で海外に出かけていらっしゃるということで、土屋さんが指定されたビデオ(NHKスペシャル~中絶胎児利用の衝撃~)を見ました。

(1)中絶胎児細胞の研究
 中絶された胎児の細胞はすでに分化がはじまっており、それらを培養して各組織の中心となる細胞を取り出して患者に移植しても、拒絶反応が起こりにくいため移植治療に適していると言われている。毎年中絶によって多数の細胞が捨てられている中、それらを再生医療に利用しようという研究がなされている。 
アメリカ「セルー・セラピー(細胞治療)」
 アメリカでは研究が進んでおり、中絶細胞を使った治療がすでに行われた。網膜が損傷し失明するという遺伝病を患っていた女性が中絶細胞を移植し、見事に視力を回復したのだった。このことは大きな反響を呼び、世界中からそのドクターのもとに中絶細胞による移植治療の依頼が殺到し、細胞が足りないほどになった。その一方で、その治療に反対するデモが行われ、「人の命を利用するな」とか「その治療は中絶を肯定することになる」といった意見も多く出された。

・日本 大阪医療センター
 脳卒中にしたネズミに中絶細胞から取り出した神経幹細胞を注射したところ、ネズミの脳卒中が治った
という実験がされた。しかし、まだ人には応用されておらず、動物実験止まりである。

(2)中絶胎児細胞の利用の是非
アメリカ  州によって判断が異なる。
     Yes-約6割  No-約2割

・ロシア   利用に賛成。

・日本    未だに議論中で確かな指針が決まっていない。(先進国では日本だけ!)
     →神経不随患者など、中絶細胞移植を望む人々が行動を起こせないという問題がある。  

感想:日本は早く国としての指針を決めないといけないと思います。今のままでは研究も進められないし、治療もできません。中絶細胞の利用に賛成するならその研究が進められるし、反対するならES細胞の研究などにもっと力をいれ資金をまわせばいいと思います。でも私は、中絶した親たちに治療に利用してよいかどうか許可をとる、ドナー制にすべきだと思いました。なぜなら親が産まないと決断し廃棄物とされる中絶細胞は、亡くなった人の臓器提供と同じように扱ってもいいんじゃなかなと思ったからです。

 シンポジウム全体としての感想は、私は特に『ホスピス』についての田村さんのお話が心に残りました。私の祖父は脳梗塞と老化現象から現在は家で寝たきりの状態のなっています。祖母を中心に介護し私たちも手伝うのですが、素人には不十分なところもあり、介護保険のヘルパーさんたちが入浴やリハビリを手伝ってくれています。そのおかげで祖父は毎日穏やかに快適な生活を送れています。でも、今日の話を聞いて、顔には出さないけれど祖父もやはり死を意識しているんだろうなと思いました。私は二人称の死を薄々感じてはいるものの、目をそらし考えないようにしてきました。でも田村さんが「私は患者さんのお世話をして、関わることのできるポジションにあります。十分にお世話するとこで私自身も患者さんの死をひきずらずにいられます。」と話されるのを聞き、私も今からもっともっと祖父の世話をして、祖父に喜んでもらおうと思えるようになりました。今日のお話を聞けて本当に良かったです。