やまげ(A18)

クロロホルムを充満させたビンに入れるだけでこんなにも簡単にマウスの命を奪うことが出来るんだと思った。体が小さいこともあってか、10秒程度で麻酔にかかり眠りについた。そして、目覚めることは無かった。

その後、マウスの腹を最初にはさみで切り開く時、非常に抵抗が大きく、なかなか切ることが出来なかった。でも、マウスの皮膚を切って行き、普段見慣れたマウスと違う姿が現れた時、抵抗は無くなって行った。内臓がどうなっているのだろう、という好奇心に変わっていった。でも、顔などの「普段見慣れたマウス」の部分を見ることは意識的に避けていた。
今でも初めてマウスの腹を切った時の映像は脳裏に焼きついている。

さて、最近考えている事がある。マウスを解剖するのには意識的に愛着がわかないように接していた僕自身でも相当抵抗があった。でも、少し前の生物の授業で行ったウニの実験の時に、ウニを切り開く時は抵抗をほとんど感じなかった。そして、蚊を殺すことに抵抗は無い。この違いはどこから来ているんだろう。「姿形が人間に似ている」というような外見上の問題なのか?