JT生命誌研究館 (3C07 ミラクルさん最終回SP見てね)

すいませんやっと更新できました。
今日は高槻市にあるJT生命誌研究館というところにお邪魔させていただきました。

~後半~
中村先生のお話が終わった後に僕達は二班に分かれて館内を見学することになりました。
まず始めに係りの方が説明してくださったのは「DNA・染色体・遺伝子・ゲノム」そして細胞分裂のお話。特にDNAの塩基対のパズルなど、目に見えない次元の話を一般の方にも分かりやすく、親しみやすくする工夫がされていました。
 DNA…塩基・リン酸・糖がつながった最小単位ヌクレオチド共有結合と水素結合で二重らせん構造     をとったもの。DNA上の個々の特定の領域が一つの遺伝情報を形成している。
 染色体…DNAにタンパク質分子の「ヒストン分子」が絡まりDNAどうしがさらに凝縮されて固まった状態
     のこと。主に体細胞分裂等の基本的な核分裂の分裂期でこの状態をとる。
 遺伝子…親から子に伝わっていく様々な形質の遺伝情報を持った存在の単位のこと。簡単に言うと、遺
     伝情報を持ってる個々のかたまりの総称。
 ゲノム…様々な生物の遺伝情報を有する染色体のワンセット。生物種によってその数は異なり、遺伝子     レベルで見ればこの数の違いが生物の違いを生んでいるという。

次に細胞に関する部屋に行き、そこで実際の10万倍サイズになる細胞の模型を使って細胞の構造についてお話してくださいました。とにかくとても大きいので高1の時にここに来てたら生物の細胞についてはすごい分かりやすかったと思います。また細胞について書かれた本を開くとそこに載っている細胞小器官の実際の映像が投影されたりしてワクワクする感じでした。オートファゴソームと呼ばれるたぶん高校の生物の範囲外の細胞小器官の存在を知りました。
 オートファゴソーム…ミトコンドリア等の細胞小器官が古くなった場合、あるいは細胞が飢餓状態に置
           かれたときに、小胞体に由来するとされる二重の生体膜がこれを包むことで形成
           される。リソソームと融合しファゴリソソーム(食込融解小体)となり、取り込
           んだ物を分解する。by Wikipedia

さらに別の部屋に行くとそこは脳に関する部屋でした。様々な生物の脳のモデルが置かれており、生物の進化とともに変わる脳を説明してくださいました。生物ではじめて脳を持ったのはヒドラの捕食のための脳。生物の初めての脳はやはり「食べる」ことでしたね。そのほか鳥類などでいえば空を飛ぶ時に平衡感覚が大切になったりするので小脳が発達していたりと、脳の進化はそれぞれの生物の需要に特化したものであり、必ずしも人間の脳がその別の生物にとって優位に働くかは決まっていないそうです。人間は間脳などに覆い被さるようにして大脳がありますが、やはり他の生物の脳ではほとんど見られない形でした。
ちなみにゴキブリは実は各身体の部位に反射のように手足を動かせる興奮伝導・伝達の中継地があり、そのためあんなすばやい動きができるのだそうです…。

個々からお話は生物の進化へと移っていきます。次に紹介してくださったのは生物の系統樹のモデルがあり、そこでのお話。生物はその昔、何億年もの間2種類の細菌だけしか存在しない時代があったそうです。そして人にまで進化したのはつい最近のことで、本当に何億年とか軽く言っていますが、「どれだけ長いねん」と思わずため息が出てしまう感じでした。そして次に進化の様子をアートみたくプレート上に記してあるものがあり印象的でした。

次に肺魚の展示がありましたが、またこれがかわいいやつでした。進化上、肺を持つ魚類でときどき肺呼吸のために水面上に口を出すそうです。この魚こっちが水槽の前で動くと顔を合わせて動かしてくるのですが、その顔がかわいらしい。ちょっとマヌケというか何かが抜けたような表情で、つぶらな瞳をしていました。

そして「46億年の階段」と呼ばれる、玄関から入って正面にある大階段がありました。これもちょっとしたアートで、階段の形が二重らせん状に伸びており、階段の途中には様々な進化を遂げてきた生物の進化の過程の絵が飾られていました。これは生物が今までたどってきた生物の進化を表しているそうです。後で上りましたが一段が数億年をあらわしており、一段一段ひょいひょい上っていけるのに一段がこんなに長い階段は初めてでした。それぞれの生物の絵がすごいきれいだったのを覚えています。

次に生物の発生についてでした。受精卵、そして胚になり生まれていく生物。そのなかで咽頭胚と呼ばれる、どんな生物でも大体似たような胚の形をする時代があるそうです。前に生物の授業でも習った「生物の発生は系統発生を繰り返す」(進化してきた生物の発生は様々な生物の発生の段階と途中で形がかぶるように進む)という理論をふと思い出しました。まさに生物がだんだんできてくる……。また生物の骨格模型もありました。

そしてオサムシの進化についての展示もありました。かつてはパンゲア大陸と呼ばれる巨大な大陸しかなかった地球上でその大陸が分裂していき、それぞれの地理的条件から進化が異なっていくお話をしてくださいました。生物用語で言うと相似器官や相同器官のお話もしてくださいました。人の祖先がどう大陸を移動してきたか、なども説明してくださいました。あと気になったのが分子時計と呼ばれるもので、生物の進化を分子レベルでとらえたとき、それらの進化はDNA上の塩基の成分であるA・T・C・Gの突然の変化によって起こっていくものということでした。しかしDNA上のわずか1%の変化でも、それが起こって次の世代につながっていくのには約360万年の月日がかかるそうです。そういう意味でみると、突然変異などはすごい気まぐれでさらにその変異が自然淘汰されずに適応していけるかどうかなんて、更なる気まぐれですごいまれなことかと深く思いました。

その後にいよいよ最後となったゲノムのお話。ゲノムの定義は先ほど説明した通りです。まず飾ってあったオブジェは様々な生物の影絵のようなものを投影した円筒状の物体で、影絵は全てぼやかされていました。このぼかしは故意なもので、まだまだ生物は進化の途中で今が完成体ではないということを表しているそうです。ゲノムによる生物種の違いについて、生物体一体が構成する染色体の本数はたとえば人間では46本ですが、チンパンジーなどでは48本です。また人間よりもその数がはるかに多い生物も多々いるとのことです。つまり生物がより高次元であるかどうかはその本数の多さとはまったく関係がないということでした。といいいますかむしろ人間の進化においてはその第2染色体は実はチンパンジー時代でいう第12・13染色体と似ており、実はチンパンジーの48本の染色体のうちその2本が結合して人間の染色体数は46本になったのではないか、といわれていると書かれてありました。最後に係りの人が生物種としての自分、そして私としての自分をよく見つめあいその中で常に考えて生きていくとまた新しい見方ができるかもしれません。と語っていただきました。

その後少しの間フリータイムでした。二階には「蟲愛づる姫」という虫の好きな日本のお姫様のお話の展示がされていました。見た目が気持ち悪い幼虫でもいつかは美しい蝶になるように物事の本質を見ましょう、そういったメッセージをこめられたそうです。が、残念ながら僕はその後、係りの方と少しお話をしたりして行く時間がありませんでした…。

~感想~
今回、このJT生命誌研究館の展示を見て分かったこと、それは進化のため息が出るくらいの長さ。ゆっくり熟成で300年!とかでオー!!とか言っているのが馬鹿らしくなるくらい。まあよく言う話かもしれませんが、本当に人間が出てきたのはつい500万年前のこと。まだまだ地球の他の生物にとっては新入社員に過ぎないのです。でもこれまでの人間の短い歴史の中で、人間は地球の表面で同じ生物種、つまり同じゲノムを持っているのにもかかわらず戦い、憎しみ…。他の生物はたとえ違うゲノムを持っていても、この地球のバランスを崩すことなく共生関係を保っています。確かに人間がこの地球上に生まれて時点から今日まで何かを動かすためには人間は開発などをせざるを得なかったのかもしれません、でもそれを完全に肯定できるわけでもないと思います。人間が何のために大脳を大きくして進化してきたのでしょう?確かにその大脳のせいで人間は憎しみや怒りの感情など、争いへと導く原因を持ってしまったともいえるかもしれません。でもならそうならないために何ができるか、「考える」そして「動く」こと、そうしたらもっといい使い方ができるでしょう。そうじゃないと人間はいつかせっかく進化した大脳をうまく使えず、進化の波に取り残されて自然淘汰されてしまうでしょう。と思いました。