9月20日 緩和ケア・ホスピスケア 3C10 ohod

 はい、ブログ書くの遅れて申し訳ないです。いろいろありなかなか・・・。
 この日は淀川キリスト教病院ホスピスで働いてらっしゃる、田村恵子先生を招いての授業でした。淀川キリスト教病院は日本で初めて緩和ケアを提供した病院です。ではまずは緩和ケアの定義から・・・

1989年の段階では「緩和ケアとは、治癒を目的とした治療が有効ではなくなった患者に対する積極的な全人的ケア(total care) であり、痛みやその他の症状コントロール、精神的、社会的そして霊的問題(spiritual problem)の解決が最も重要な課題となる、緩和ケアの目標は患者とその家族にとってできる限り可能なQOL(Quality Of Life)を実現することである。このような目標を持つので、緩和ケアは末期だけでなく、もっと早い時期の患者に対しても治療と同時に適応すべき多くの利点を持っている。」
2002年では「緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな(信仰などに関する)問題に関してきちんとした評価を行い、それが障害とならないように予防したり対処したりすることでクオリティー・オブ・ライフを改善するためのアプローチである。」どちらも、

1 治療(cure)より看護(care)に重きを置いている。
2 病気による痛みだけでなく精神的苦痛、スピリチュアルペイン、そして社会的苦痛などの全人的苦痛・トータルペインの緩和を目標とする。
3 2により、QOLの向上を目指している。
4 かつてのような、治療の施しようがない段階の後の緩和ケア・ホスピスケアではなく、早期の段階から治療とともにおこなう。
ということが分かる。

 またホスピスと緩和ケアのちがいがあいまいかもしれないのでいちよう書いておきます。 ホスピスホスピス緩和ケア病棟のこと。建物ですね。がんの末期が対象。緩和ケアとは、癌などの痛みをとることのほかに、諸症状のコントロールし、全人的苦痛に向き合い、患者とその家族のQOLを向上させることです。だから「ホスピスを受ける」ではなく、「ホスピスケアを受ける」と使いましょう。 はーぃ。
ホスピスケアは終末期にある患者を対象としたケアを行い、治療は受けられない。また介護の要素も含まれる。それに対して、緩和ケアでは、初期終末期は関係なく、治療をしながらでも受けることができるということです。
 
 田村先生の話によると、やはり入院患者のほとんどが癌患者であるようです。またそのうちがん告知をされ、自分の病気のことを知っている方が多いそうです。先生の話を聞いていると「はやく死にたい。」と言ったり、実際に自殺を試みる方もいるようです。全人的に健康な人には想像もできないほどつらくて、怖いのでしょう。。。四六時中吐き気や悪寒に襲われ、好きな食事も常に食べれるわけではない。行きたいところがあっても、一人じゃ行けない。当たり前のことが当たり前にできない苦痛。それは計り知れないものでしょう。 たとえば、骨折して片足が使えなくなったとき、二本足で歩くことがとてもすばらしいことに思える。駅の階段などで、自分は片足で一段一段上がっていくしかないのに、周りの人はみな”二本”の足で颯爽と階段を上っていく。あるいは、突き指したとき、いつもはなんとも思わず、無意識のうちに繊細で巧みな動きをおこなっているのに、いざ動かなくなると非常に不便に思う。失うことで初めてその大切さが分かるのです。僕たちはあたりまえのことをあたりまえにできることのすばらしさを感じなければならないと、改めて思いました。
 
緩和ケアやホスピスケアを受けられているかたがみな「早く死にたい」など思っているわけではなく、「生きられてよかった」などとおっしゃる方もいるようでした。僕が死ぬときにも、いままでの人生が楽しかった、生きていてよかったと、そう思えるようになっていたいものですね。