6/17の授業報告(3A25)

今回は、関西電力病院に産婦人科医として勤めていらっしゃる藤田先生に「不妊治療」のお話を聞かせていただきました。
 
1.妊娠について
基礎知識は省略。
◆自然妊娠がうまくいくための条件
 ・血流の多いぶ厚い子宮内膜であること。
  (黄体ホルモンに関係。スタイルに関係があったりはしない)
 ・下垂体ホルモン(卵胞刺激ホルモン、黄体化ホルモン)が脳から分泌されること。
  (無理なダイエットをしたりすると、身体が危険な状況であると脳が察知して分泌を止める)
 ・十分な数の精子があること。
 
 
2.生殖補助医療
生殖補助医療技術 Assisted Reproductive Technology : ART
◆STEP1 タイミング法(ARTではない)
        →卵胞のサイズから排卵のタイミングを告げる 
◆STEP2 人工授精
        →排卵日に夫の精子を持ってきてもらい、培養液を加えて遠心分離し、生存精子を回収。
          生存している精子を子宮の奥に送り込み、卵管に到達できる運動精子量の増加を図る
          1回あたりの妊娠率10% 費用約4万円
◆STEP3 体外受精
        →採卵し、受精させて胚をある程度育てて子宮へ戻す
       顕微授精
        →卵の中に1つの精子を入れる
 
□自然妊娠を妨げる要因
 ・卵管因子………炎症によって卵管がダメになる。
 ・子宮内膜症……通常とは異なる場所に子宮内膜がある
 ・受精の異常……精子に対して抗体をもっている卵 など。
 
 
3.不妊について
 妊娠可能な期間が限定されている女性と、限定のない男性→不妊で先に悩むのは女性である
 患者は、”不妊の原因は女性にある”と思い込みがち。
 だが実際のところ、”男性機能障害”、”精子が少ない”など男性に原因があることも多い。
 
 不妊というのはひとつの現象であり、不妊症とは意味が異なる
 
 また、社会通念として「女性=妊娠・出産・育児」というイメージがあり、
 子どもがいない自分は女性として不完全なのではないのだろうか・・・という不安が募る
 
 
ここで男女まじった4人グループを作り、用意してくださった、不妊症で悩む夫婦を描いたシナリオを配役を決めて読むことで不妊治療について考えました。
2回通して読んだあと、各グループで、感想と「不妊治療を乗り越えるためになにが必要なのか」について意見をまとめました。
◆グループでの感想・・・
・夫婦での温度差が激しい。夫が子どもを欲しいと思っているのかが分からない
・夫婦仲ががぎくしゃくしている
・夫は子どもよりも妻の身体を心配し、妻は自分よりも子どもを大切に考えている
・高齢出産のリスクは考えているのだろうか
・出産後も、妻ばかりが子どもに執着しそう
・本当に子どもが欲しいかについて夫婦間で話し合えていない
・夫は妻を心配していない
 
不妊治療を乗り越えるためになにが必要か
・妻がもっと夫に協力をもとめる
・夫婦で話し合って子どもに対する想いを共有する
・夫が不妊の知識を得る
・夫が病院に一緒に行って医師から直接説明を受ける
 
実際、「会話不足」と「不妊の知識不足」の患者が多いそう。
本当に子どもが欲しいのか。それは多額のお金を必要としても変わらない気持ちなのか。
・・・といったことを夫婦で話し合うことが必要。
病院はステップアップをすすめるところ。
ただそれに流されるのではなく、自分たちの意思をはっきりとさせなければならない。
 
 
 
●個人の感想
授業で読んだようなケースが実際多いということに驚いた。
男性と女性の意識の違いの差は大きく、それだけ「妊娠」「出産」を我が身で体験しうるか否かの差も大きいのだろうか。
と同時に、夫婦の問題であるのにも関わらず他人事のように考えてしまう夫に対して腹立たしく思った。
夫婦2人の子どもを産むということ、新たな生命をうみだすということをもっと重く深く考えるべきだと。
実際にお腹を痛めて産むのは女性だけど、それをどれだけ男性がサポートして夫婦として向き合うことができるのかが大切だと思う。