2010年9月16日(木)薬害について

2010年9月16日(木)投稿は3A41です。
 
大阪市立大学大学院医科学研究科 土屋 貴志先生にお越しいただきました。
 
テーマ「くすりとは何か―イレッサ薬害から考える」
 
イレッサ薬害とは”
 
 1.「夢の新薬・希望の薬」と呼ばれたわけ
 
・様々な抗ガン剤の中でも珍しく、1日1錠飲むだけ
・実際に効果がとても早く現れる
・“分子標的薬”として正常細胞は攻撃せず、ガン細胞だけを狙い撃ちし、死滅させる
 
 ※上記の3つの中には一部誤りがあるので、詳しくは下記を見てほしい。
 
日本では、2002年7月、同年1月の承認申請からわずか6か月弱という異例のスピードで世界に先駆けて承認された。上記のような情報が日本国内を駆け回り、医者も患者もとても驚き、夢の新薬の誕生に大変喜んだ。本当に効果はすぐに現れた。ある患者は服用から1か月でレントゲン写真にガンの影の縮小が見られた。
 
しかし、このくすりには大きな落とし穴があった。
 
 2.副作用「間質性肺炎
 
  ガン細胞だけを狙い撃ちするという情報は極めてあいまいな情報であった。
本来ならばイレッサを開発製造した、イギリスのアストラゼネカ社から実際に日本国内の病院に送られるまでに何年もの月日が必要であるはずである。がしかし、世界初の薬に着手しようという、国の考えが危険の徴候を軽視するきっかけになったのではないのかとの声もある。
 
イレッサは正常細胞にまで働きかける効果があったのだ。
 
  “イレッサ”を服用し始めて、早いケースでは1週間で発症。肺胞と肺胞の間にある肺間質に炎症が起こり、異常増生が始まる。ステロイドパルス治療等を行わなければ、肺胞がつぶれ、肺が機能しなくなるため、死に至る。調査の結果、イレッサを服用した人の5.8%が間質性肺炎を発症し、その約半分の2.3%が死亡している。
 
 3.なぜ未だに使われ続けるのか
 
    イレッサだけではなく、抗ガン剤には様々な副作用がある。これは正常細胞に働きかけてしまうからだ。がん自体が小さくなっても、重い副作用で寿命が短くなることがあるそうだ。
    しかし、イレッサは未だに使われている。なぜか。やはり、強い副作用があると知っていてもガンを少しでも抑えるのなら・・と考える人が少なくないからだ。実際の数字を見ても、副作用から死に至るのは半分ほどであり、必ず死亡するわけではないのである。
 
   4.問題点
     
     ⇒新聞で大きく報道されない。ここには新薬の希望を打ち砕いてほしくないという国民の思いがあるのだ。しかし、だからと言って目を伏せてはいけないのではないかと私は思う。実際に“くすり”に目を向けて、国民ひとりひとりが考えるべき問題だと考える。
 
     ⇒抗がん剤は第Ⅰ相試験から患者に使われる。もともと毒性が強いと分かっているからだとしても、薬害問題はここから始まっているのだ。
 
     ⇒患者の自己決定権について。製薬会社から実際に使われる病院にくすりが渡る時、どのようなやりとりがあるのかを患者は知らない。現代の医学で「インフォームド・コンセント」が定着してきている中、医者から伝えられる知識等が全て正しいのかどうかを判断する必要がある。
 
   5.これらをふまえて(感想)
 
     4にあげた3つ以外にも薬害について、本当にたくさんの問題点があるだろ
    う。W BLINDと呼ばれる実験など、くすりを一般に使えるようにするまでに
    たくさんの実験をするべきだと私は考える。土屋先生がおっしゃった「薬は毒
    にも薬にも、ならない。」という言葉には深い意味があるのではないかと感じ
    た。
 
この授業を終えてから友人に
「私は使うべきではないと思う。」と話すと
「いやいや。僕は実際の立場に立って考えてみるけど、やはり使うだろな。」
と言われ、いろいろと考えてみたがこのブログを書くうちに使うべきではない
という意見に至った。
 
 皆はどのように考えるのか知りたい。
 
土屋先生、ありがとうございました!