遺伝子と生命 3D32

 
8月29日分です。投稿が遅くなってすみません・・・
 
この日は京都女子大学現代社会学部の霜田求先生に「遺伝子と生命」についてご講義いただきました!
 
 
0.遺伝と遺伝子の違いについて
遺伝:生物の形成[形・色・大きさ、機能・能力、行動性向等]が遺伝子によって、親から子へ、あるいは細胞から次の世代の細胞へ伝達されること。
遺伝子:遺伝形質を決定する因子のこと。
 
1.遺伝子と疾患
「肺がんを発症しやすい体質かどうかに影響する遺伝子の個人差の発見」
→この個人差が喫煙量とニコチン依存度にも関係する!?
 
「日本人の2型糖尿病の発症にかかわる遺伝子の特定」
→この遺伝子だけが要因ではないが、この遺伝子の差異のある人は生活習慣の見直しによって、発症予防になりうる
 
2.遺伝子診断:遺伝カウンセリング
(a)結婚前
自分が知的障害の原因遺伝子の保因者ではないかと疑い、遺伝カウンセリングを訪れ、自らの遺伝子検査を望んでいる。保因者であった場合、婚約者にはそのことを告げずに婚約解消を申し出る。
 
(b)着床前
第一子が染色体異常である夫婦が第二子を計画しているが、同じ疾患にかかるリスクを知りたいと思い、遺伝カウンセリングに訪れる。可能性が高い場合、体外受精をして胚の検査をし、可能性のない胚を選び、妊娠・出産を希望。
※第一子がある疾患を持っている場合、第二子もなる確率は極めて高い。
 
(c)出産前
ある夫婦が夫の叔母が先天性の精神疾患であるので、妻が妊娠初期の段階で子どもにその疾患が受け継がれることを懸念し、相談に訪れる。胎児検査でその可能性が高いと分かった場合は中絶することを前提に検査を申し出る。
母体保護法では認めていないが、年間数千件は行っている
 
3.遺伝子ビジネス
遺伝子診断は今(産経ニュース2008.11.4.より)
「遺伝子診断」:遺伝子を調べることで病気の予防や治療に役立てることができる治療
 
→「遺伝子検査」:企業が行っている口内粘膜などを医療機関を通さずに検査機関に送り、肥満のなりやすさなどを知ることができる検査
※有用性が科学的に証明されていない以上、商業ベースで行うのは詐欺と同じともとらえられる。
 
→「リスク検査」:クリニックで行われるガンやアルツハイマーなどのリスクの検査
※リスク評価なので、リスクが高い人が必ずその病気になるとは限らないが、病気予防のためにより効果的な対策などを提案できるといったプラス面もある。このリスク検査では肺がんになるリスクが高い人には禁煙を勧められるが、リスクの低い人には禁煙を勧めにくいといった事もみられるので、リスク検査において、リスク評価の意味をしっかり把握した上で利用することが求められる。
 
4.遺伝子と能力・行動
「マラソンマウス」:遺伝子操作により作られた長時間走り続けることができ食べても太らないマウス
→スポーツ訓練やダイエット用の効果的な薬
 
「オキシトリン」:出産にかかわるホルモン。この働きを抑えると攻撃性が高まる
→虐待:オキシトシンが少ない事も一因。治療の対象となるかもしれない。
 
5.遺伝子と性格
血液型性格分類」:血液型を重要視する考え方。
※血液型と性格との間に特殊な関連を設定した統計的な検証は行われているが、関連を裏付けるデータは得られていない。疑似科学の一つ
→不当な偏見や差別その他のさまざまな問題を生む要因となりうる
 
6.遺伝子と教育
「それぞれの子どもの遺伝情報に見合った教育を行うべき」
※社会との関わりは、遺伝要因だけではなく環境要因もある。その2つが良い方向にも悪い方向にも能力を引き出す。遺伝情報がすべてではない。
 
~感想~
 科学が解明されていくにつれ、プラスになることが増える半面、社会がどんどん複雑になり問題も増えることを一学期学んできました。遺伝子の解明についても生活に役立つことも多いが、これからはさらに問題が増えると思います。それについて、私たちがどう考え、どう対処すべきなのかを実感した講義でした。霜田先生ありがとうございました。