生命論 第7回 3D09
講義 『不妊治療の実際』 関西電力病院 医師 藤田先生
最初にクイズを出していただきました。
Q1 年間に約100万人の新生児が生まれるが、そのうち体外受精で生まれる数は?
① 5千人 ② 1万人 ③ 2万人
① 7~8組 ② 15~20組 ③ 30組
Q3 不妊の原因がわかっている中で、その原因の男女比は?
① 1:9 ② 2:8 ③ 3:7
Q4 不妊治療を行って実際に分娩までにいたる確率は?
① 60% ② 80% ③ 95%
Q5 年間の中絶件数は?
① 1万件 ② 10万件 ③ 30万件
答え 1.③2万人 2.①7~8組 3.③3:7 4.②80% 5.③30万件
4.ホルモン量や年齢制限で治療を断る施設もあり、施設間では差がある。95%の施設もある。
5.40代が一番多い。
次に実際に行われている不妊治療とその苦しさについて、スライドショーを交えながら話をしていただきました。
―結婚をしたらすぐに子供ができる、幸せな家庭=夫婦と子供、etc―というよくあるイメージからも分かるように社会があまりに妊娠・出産が当たり前に思っている。
↓
不妊治療を受けている人たちの中には「子供ができないから自分たちはできそこないのカップルだ」と負い目を感じてしまうカップルがいたり、女性自身が「自分は女性のからだとしてはできそこないなのかな」と感じてしまうことがある。
それは、「生理=妊娠・出産」という強い結びつきがあるように教える教育が、生理があるのにも関わらず妊娠ができない場合に女性が苦しむ原因の1つではないかという指摘もある。
また、不妊治療のゴールは妊娠または完全にあきらめるのどちらかしかないので治療の長期化が起こりやすく精神的金銭的負担が増大していきやすい、という現在の治療システムに問題がある。
不妊治療には3STEPがある。
↓ 約9~10%の人が妊娠
STEP2 人工授精(精液を採取して子宮内に直接入れる。精子濃度が少ない方などが対象)
↓ 約10~13%の人が妊娠
STEP3 ART(Assisted Reproductive Technology:生殖補助医療技術 体外受精や顕微授精)
約30%の人が妊娠
※残りは各自スライドショーの内容を確認してください。
続いて、4人1組になって妻、夫、医師、看護師役にそれぞれなりきり不妊治療でよくある展開を実演し、そのあとにどこの言動が良くなかったのかを話し合いました。
実際に、不妊治療が上手くいかなくてどんどん夫と妻との温度差が大きくなっていき、気まずくなっていくのがほとんどだそうです。
★コミュニケーション形態の違い
○男性
表現方法がわからないので控えめな感情
治療を実体験できない
上手く受け止めることができない
触れないでおこう・・・
妻をいたわりたいのにどう声をかければいいのかわからない
○女性
豊かな感情表現→一方的に夫にあたってしまうことも
実体験を経験できる
夫が治療に関心がないように(子供がほしくないの?)思われてしまう
話を聞いて気持ちを受け止めてほしい
ここで注意しておきたいのは、夫も辛いのにそれを妻にうまく伝えることができないという事実である。
藤田先生が勤務していらっしゃるクリニックのサポートでは
“治療の主役=ご夫婦”という考え方のもと、自分たちらしい選択をしてもらうようにしているそうです。
そのためには治療を受ける受けないそれぞれのメリットデメリットを知ってもらった後、“何を大切に治療を選択するのか”というのを夫婦自身が考え、話し合うことを大切にしているそうです。