第4回 生命操作について(グループ討論)

「生命操作」(グループ討論)
 
1.着床前遺伝子診断と胚選別
想定-胚の遺伝子的特性の診断技術が確立し、種々の疾患の発症に関わる遺伝子型の特定が可能となり、発症リスクの高い胚を検出することができるようになった。遺伝性の重い神経難病に苦しんでいるX氏とその妻は、体外受精で作製した複数の胚から、着床前遺伝子診断により発症可能性のないものを選んで妻の子宮に着床させ、健康な子を得ようと考えている。
 
2.ドナー・ベビー
想定-Y夫妻は、重い血液の疾患で余命数年と診断された子供の治療のため、もう一人、子を作ってその臍帯血の造血幹細胞を移植しようと考え、体外受精により複数の胚を作製し、その遺伝子診断でもっとも組織適合性の高いものを選んで妊娠・出産する計画を立てている。
 
3.胚への遺伝子治療
想定-体外受精によって操作可能な対象となった胚は、疾患の発症に直接関与する遺伝子を特定できるようになることで、その部分を除去したり「正常な」遺伝子と置換するという形で治療の対象となっていく。妻の方が代々遺伝性の乳がん遺伝子の保因者であるK夫妻は、体外受精によって作製した胚の遺伝子治療を行い、健康な子を得たいと考えている。
 
4.デザイナー・ベビー
想定-特定の遺伝子型と身体の機能・形態および知的能力といった表現型との相関関係が解明され、一定の意図を実現する胚への操作(除去、付加、組み換え、置換)技術も確立するに至る。P夫妻はそれを商業化した「デザイナー・ベビー」ビジネスの提供するサービスから、「記憶力」と「情報処理能力」向上のメニューを選び、優秀な子を得ようと考えている。
 
5.クローン・ベビー
想定-体細胞核移植ヒトクローン作製技術の開発が進み、「不妊治療」目的で導入された後、未受精卵の提供や代理出産を含めた「クローン・ベビー・ビジネス」として一部の国で合法化されている。恋人を事故で喪った女性R氏は、その恋人の体細胞によるクローン・ベビーを依頼し、シングルマザーとして育てたいと思っている。
 
6.人工子宮
想定-体外受精で作成した胚を母体外に着床させ、「妊娠・出産」を代行する人工子宮が開発され、女性が自分の身体を用いないで子を産む技術が実用化にいたり、それをサービスとして提供する人工生殖ビジネスが始まる。キャリアウーマンのF氏は、恋人との間で体外受精卵を作成し、このサービスを利用して子を得ようと計画を立てた。
 
《全体の感想》
全員と討論をすることはできなかったが、誰もが自分なりの意見を持っていたためとても充実した時間を過ごせた。特に、人工子宮について討論した際は「マッドサイエンティストが現れて悪用するのでは」や、「ビジネスとしてはとても画期的なのでは」という私には全くなかった視点からの意見があり、とても刺激を受けた。
今回の討論を通して、6つのテーマそれぞれについての自分の意見が確立できたので、これからの講義には「自分の意見とどこが違うか」を見極め、「なぜ違うのか」を考えながら臨みたいと思う。
 
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