第7回 いのちの限りと向き合う


今回は、淀川キリスト教病院で緩和ケア認定看護師として主にがん患者の包括的な支援を
なさっている”杉田 智子”さんにお越しいただき、

「いのちの限りと向き合う」

というテーマで、ホスピスについてお話を聞かせていただきました。



§1 内容

1.淀川キリスト教病院について

   杉田さんが務めていらっしゃる淀川キリスト教病院は「淀川キリスト教病院の全人医療とは
  からだとこころとたましいが一体である人間(全人に)キリストの愛をもって仕える医療です。」
  という理念のもとで、がんの診療に力をいれ、「大阪府がん医療拠点病院*」に指定されている
  病院です。この病院とは別の建物ですが「キリスト教病院ホスピス」というものもあり、今回は
  主にそちらについてお話をしてくださいました。

  *大阪附がん医療拠点病院 : 現在、患者が多い5つのがん(肺がん、胃がん、肝がん、大腸
                      がん及び乳がん)の診療等に関して指定要件を充足した病院。
                      詳しくは、大阪府のホームページをご覧ください。                  


2.近頃のがん事情

   平成25年度の総死亡者数は127万人で、そのうち死亡原因として最も多かったのは、悪性新
  生物、すなわち、「がん」です。最近では、男性は54%、女性は41%もの人が生涯でがんにかか
  っているそうです。今や、二人に一人はがんにかかる時代になっているのですね。


3.緩和ケアとは

   がんの治療法として、手術、抗がん剤治療、放射線治療、がありますが、それらに加えて、
  「緩和ケア」というものが存在します。
   緩和ケアとは、患っている病気が治るか否かにかかわらす、患者やその家族に対して、病気
  による、身体的苦痛(体の痛みなど)だけではなく、精神的苦痛(不安、いらだちなど)、社旗的
  苦痛(経済的な問題など)、スピリチュアルな苦痛(死への恐怖など)など、総合的な苦痛が障害
  とならないように予防、対処することを指します。
   しかし、緩和ケアを行っている病院は全国に215施設、大阪府では19施設しかなく、まだまだ数
  が少ない状況だそうです。


4.緩和ケア認定看護師として

   杉田さんは緩和ケアをするときに、「自分がしてほしいことをするのではなく、相手がしてほしい
  ことをする」ということを意識しているそうです。私は個人的にこの言葉に感銘をうけました。また、
  ほかにも、「こういう言葉をかけられたら自分はどう思うのだろう」と想像することや、自分自身が
  できることとできないことをはっきりして患者さんに対して誠実に対応するということを意識してい
  るそうです。ほかにもまだまだたくさんのメンタリティがありどれも感銘を受けるものばかりでした。


4.ビデオ鑑賞

   ここまで杉田さんの言葉だけでしたが、言葉だけではわかりにくいということで、元淀川キリスト
  教病院の看護師だった”田村 恵子”さんについて特集したビデオを鑑賞しました。普段は絶対に
  見ることのないような内容だったので、非常に衝撃的な話の連発でした。


5.話を聞いたそれぞれの感想

   これまで2時間弱のお話を聞いて感じたことや思ったことを一人ずつ話しました。私の祖母はが
  んで亡くなり、けっこう特殊な環境だと思っていましたが、想像以上にほかの人たちも程度の差は
  あるものの同じような境遇であることが分かり、衝撃的でした。二人に一人ががんにかかっている
  という事実にもうなずけます。


§2 まとめ

   今回は本当に貴重な生の声を聞くことができたと思います。がんにかかる確率が50%を超す今日
  なので、自分自身が将来がんにかかったらどうしようと思い、他人事とは思えずに、おもわず聞き入
  ってしまいました。私はもし、がんなどの治療することができなような病気にかかってしまったら、闘病
  生活はとても辛いだろうし、家族にも金銭面などで迷惑をかけてまうだろうと思うと、ホスピスに入るこ
  となどはせずに、安楽死したいなと思っていました。(法律面のことは考えていませんが。)しかし、今
  日のお話を聞くと、将来の自分に確実に起こる、「死」について今までのようにさっぱり考えるのではな
  くもう少し真剣に、またすこしは重く考えるべきなのではと思い直しました。機会があれば、積極的に死
  について考えたいと思います。

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