第8回 医薬品の安全性について

医薬品の安全性について」
今回は、大阪市立大学より土屋 貴志先生にお越しいただき、医薬品とはなにか、というところから実際にあった薬害事故の例や感染症についてなど詳しくお話を聞かせていただきました。


ず「医薬品」として認められるには、
・安全であること
・有効であること
の2つは欠かしてはいけない条件であり、医薬品医療機器等法と呼ばれる日本における医薬品規制の基本法や治験(くすりが人に対して有効かつ安全であるか確かめる実験)により細かいところまで審査され、合格したもののみが製造・販売を許可されます。

医薬品の有効性に関する問題として、一つは延命効果以外がエンドポイント(有効性の判断基準となる目標)になっていることがあります。つまり症状が改善しても延命効果があるとは限らないということです。薬は効いたが患者は死んだ!ではいけないということです。
さらに病気は他の原因で治ることもあります。これは「飲んだ、治った、ゆえに効いた」という三た論法は誤りであり、「飲んだら治った」としても薬の効果かどうかはわからないため、勘違いしてしまうことがあります。

それらの医薬品が引き起こす薬害の一例である「イレッサ薬害」について、パンフレットなどから被害はどのようなものだったのか、そして原因は何だったのか知ることができました。
被害の実態を知ることで、薬は私たちの病気を良くしてくれるだけではなく毒となる場合もあるということが分かりました。


次に感染症について色々なことを学びました。
あと半年もすれば受験を控える自分たちにとってすごく興味深い内容でした。
私たちが気をつけなければいけない新型インフルエンザや韓国で最近流行しているMERSもそれぞれ感染症の一種で、先天的素質、生育・生活環境などが発病のリスクに大きく関わってきます。
しかし、大事なのは、これらや病原体が発病の必要条件ではあるけれどどれか一つだけが十分条件というわけではないということです。

インフルエンザについて言えば、発病しないために!と思ってワクチンを受ける人がいますがそれは大きな間違いで、ワクチンには予防効果はなくワクチンそのものが病原体を殺したり増えるのを抑えたりするわけではないというところや、ワクチンは一般に健常者に投与される特殊な薬であるために使用による利益がハッキリしないことが多いというところは、重要なポイントだと感じました。


さらにこの講義では、男である自分にはあまり身近な内容ではない子宮頸がんの怖さや予防について聞くことができてとてもよかったと思いました。
子宮頸がんには扁平上皮がん腺がんの2種類があり、発症の原因はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によるものだと分かっています。さらにこれは性交渉をしたことがある女性のほとんどが感染するもので、そのほとんどが一過性で終わります。
子宮頸がんの予防法としては、増殖を抑える発症予防はできず、感染自体の予防が求められます。その一つとして、性交渉する前にワクチンで免疫を強く刺激して抗体を多く分泌する状態にさせておくことが有効であるとされています。
最近は若い患者さんも増えているらしいので、自分たちの年代からしっかりと予防していくべきことだと思います。

最後に、信頼できる医療情報とはなにか?を深く考えさせられました。
前提として患者にはいくつかの権利が存在し、そのうちの一つで、十分な情報提供を受けたうえで決定する権利があります。
そこで相反する情報があるときに信頼できる医療情報を見分けるため、根拠や情報源が明確に示されてることや、ごまかす表現がない(期待されています=実証されていません)ことなどを確認するのが良いと知り、人権侵害から身を守るには、疑いの気持ちを忘れずに慎重な姿勢で臨む必要があると分かりました



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