第9回 性的マイノリティをめぐる法的諸問題 ー性同一性障害の問題を中心にー

今回は、
京都大学大学院法学研究科准教授の木村敦子さんに
性的マイノリティをめぐる法的諸問題
ーー性同一性障害の問題を中心にーー

というテーマで講義をしていただきました。

ⅰ.概論
1.性的マイノリティとは?
・同性愛…自分と同性の人に対して性的感情を抱く
性同一性障害…性同一性(=心の性)が身体の性的と反対である

ここで、さらに理解を深めるために動画を見ました。
今、20人に1人が男女の枠にはまらない性であるそうです。
「男らしく」「女らしく」の型にとらわれずに、「自分らしく」生きることの大切さを感じました。

2.性的マイノリティをめぐる法的諸問題
同性愛者をめぐる法的・社会的問題
*権利侵害
・同性愛者の公共施設の受け入れ拒否
ソドミー法(~1970年代)の違憲
キリスト教では性行為は異性間でしか認められず、それを破った者は刑務所へ入れられる
*法的承認、権利の付与
同性婚や登録パートナーシップ、シビルユニオンの実施
同性婚では、婚姻したカップルと同じ権利義務が付与される。
後の2つは、婚姻は認められないが、婚姻と同じ権利義務を得られる。
(憲法で婚姻は異性間のものであると表記されている国では、違憲をさけるためにこのようにされることが多いそうです。)

ⅱ.性同一性障害者をめぐる法的諸問題
1.性同一性障害者をめぐる法的諸問題
ここでは、実際の裁判をモデルにしたケースで性同一性障害者について考えました。
平成22年までは、顔というパーツにおいて女性の方が価値が高いとされていて、ニューハーフの人が女性としての損害賠償を得たそうです。
また、刑事収容施設では性同一性障害者の人に対し、処遇の配慮が指示されているそうです。

2.性同一性障害特例法
2-1.性同一性障害者性別取扱特例法
性同一性障害者の当事者の戸籍上の性別を変更を可能にする法律
審判請求をするためにはいくつかの要件があります。
20歳以上
→成人として認められている
既に婚姻していないこと
同性婚を認めることになってしまうため
8修北だ年の子がいないこと
→社会の秩序の崩壊や、子どもの成長への悪影響を防ぐため
だ舷I塲粛弖
→社会の混乱や、身体・精神への悪影響を防ぐため
ダ器に関する部分に近似する外観を備えていること
→(プールや公衆浴場などでの)周囲への配慮
しかし、い筬イ論別適合手術を受けなければならないため、経済的な理由などで審判請求ができない人も多いそうです。

2-2.特例下での課題
1)戸籍の変更=全ての解決?
全ての解決にはならず、やはり、社会の受け入れ態勢が必要

2)性同一性障害者の婚姻・家庭
・婚姻は可能
・子ども持つ…2つのパターンに分けられる
\別適合手術前
卵子精子の保存によって可能であるが、”2人”の子どもは不可能
∪別適合手術後
卵子もしくは精子の提供を受けるため生物学上では親にはなれないが、法律上では親になることができる

ⅲ.まとめ
今、”男””女”とは違う様々な人を毎日のようにテレビで見かけます。私の両親が子どものころは、今ほどそのような人たちが受け入れられていなかったそうです。
しかし、今の日本の法律や裁判の様子を聞いて、まだまだ社会の受け入れ態勢というものができていないんだなと感じました。
(最近、東京の方では同性をパートナーとして証明するようになったみたいですが…)
ビデオにもあったように「自分らしく」生きるためには、周囲の環境も大きく影響してくると思うので、どのような人も「自分らしく」、平等に生きられる社会になって行けばと思います。


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