番外編 ハンセン病講演会


2016.6.18
今回は長島愛生園歴史館学芸員の田村朋久さんに講演をしていただきました。

「らい病」と呼ばれていたが、菌の発見者「ハンセン」にちなんで「ハンセン病」と呼ばれるように。
感染力は弱く、薬で治癒可能。
発病すると、皮膚に結節や斑紋ができたり末梢神経に異常がおこり感覚がなくなってしまう。
現在は途上国など衛生状態が悪い国で年間20万人ほど発病がある。
ハンセン病は治癒したが後遺症が残っている障害者の方が園内に入所している。

②長島愛生園について
長島にあり、島には「長島愛生園」「邑久光明園」の二つの療養所がある。
日本で初めてできた国立療養所である。
昨年20万人ほどが訪れた。
現在は「ハンセン病後遺症による障害者」の方が198名入所しておられる。

③歴史
明治以前:天刑病や遺伝病と考えられる
明治6年:ハンセン病がらい菌によるものと発見される
明治40年:行き場をなくした患者を療養所に、という「籟予防に関する件」
昭和6年:すべての患者を強制的に療養所へ、という「籟予防法」
昭和22年:プロミン治療が確立、治癒可能になる
昭和28年:「籟予防法」が改正されるも療養所内に隔離する案は取り下げられず
平成8年:「籟予防法」が廃止に
平成13年:「籟予防法」違憲判決
平成21年:「ハンセン病問題基本法

④入所者の生活
島からの脱走をはかったり、ルールを守らないと園内の官房に入れられる。
脱走防止のために園内だけで使える通貨を使っていた。
入所者同士の結婚は可、子供を産むのは徹底的に禁止される。
1955年に島内に高校が設立、だが職員は教育委員からの派遣であったため接触は最低限にされた。
現在は陶芸、絵画、グラウンドゴルフなどの活動も盛んに行われている。

⑤今も残る問題
家族との断絶、高齢化、未だに残っている偏見による社会復帰のむずかしさ。
一般市民の目を気にして遺族が引き取りにこない遺骨が3600柱ほど保管されている。

⑥教訓
多くのことに関心を持ち、偏った情報に左右されてはいけない。
差別に苦しむ多くの障害へ目を向ける必要がある。
人権感覚に基づき行動する。

⑦療養所の将来
ハンセン病問題の教訓を語り継ぐために世界遺産登録を目指している。


約二時間に渡り、このように様々な写真や入所者の方の動画も交えながらお話していただきました。
ありがとうございました。