ラット解剖実習 感想4

育てていたネズミの解剖をした。ありがとう、って言いながらいろんな構造を見せてもらえた。
麻酔のとき、私のネズミは案外ぽっくり逝ってしまって、簡単なことなんだと思った。首を折ると思っていたからそれよりは全然大丈夫だったけれど、 最期の意識が飛ぶ瞬間は忘れられない。手足がどんどん白くなって、葬式で見たおばあちゃんみたいでヒトと変わらないなと思った。
皮を切るのは簡単でごめんねって思いながら開いた。膜を切ったときに中に空気が入っていく感じが何とも言えなかった。
胃がなかなか見つからなくて、肝臓の下から出てきたときは少し気分が高揚した。実体験で臓器の場所を探して知るのは図鑑で見るのとは比べ物にならないくらいストンと頭に落ち着いた。
腸が教科書なら上の方に小腸でどんどん下に降りていくような書き方だけど、全然違うかった。胃の近くに大腸がきていてしかも腸間膜で繋がっていて。本とかが全てじゃないと実感した。教科書や図鑑は一般化・簡略化されているし、本なら想像であったりあくまで一例であったり。実際はその物自体をみて、考えないと感じれないことがあって、あと生き物なんて特にみんな同じな訳ないって思えた。麻酔に強い弱いとか、胎児の育ち具合も違うし、雄と雌でも手足の硬さとかも全然違う。
中でも胎児が一番印象深かった。もう手も足も出来て口も開いて中身も出来ていて、もう産まれるだけだったんだと思うと、ほんの少しだけもやっとした。すごく可愛かった。小さくて、ネズミというより「これが命か」って思えるような、ほかに何も纏っていない命だった。何故かわからないけれどとても尊く感じた。
頑張って視神経ごと脳を綺麗に出そうとしていて、脳がポロッとちぎれて取れてしまったときにやっと「ああ、死んでるんだ」と思った。どんどん朽ちていくものになったんだなと感じたから。
身体の中はすごく綺麗だった。筋肉に内臓、骨と神経。全てを完全に見ることが出来なかったことが心残りである。
通して、自分もこんなのでしかもそれが生きていると思うと、命ってすごく脆くてだからこそすごいなって思った。 こんなひとつひとつは単なるモノでしかも簡単に潰せてしまうようなモノなのに、それらが合わさって命になっていて、息ができてご飯が食べられて、くだらない会話まで出来て。不安定な縄の上を歩くように生きているのかもしれないと思った。

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