ハンセン病を生きて―きみたちに伝えたいこと―を読んで (3)

 
 ハンセン病を生きて』を読んで、まず率直に心が痛んだ。今までハンセン病の事をあまり知らずに生きてきて、本を読んで初めて厳しい事実を知った。特にアイスターホテル宿泊拒否事件は衝撃的で心に残っている。菊池恵楓園自治会に届いた「差別文書綴り」の手紙を読んで、ほとんどが自分もこれは残酷でおかしいと思う手紙だったが、中には言っていることは正しく間違っていないのではないかと思った手紙もあった。倫理的には間違っていることは分かっても、理論上正しいのではないかと思い自分の中でモヤモヤした。しかし、本を読み進めていくと作者は『差別意識は薄められ、人の心の深いところに潜んでいるだけに、日常的にはその意識をみせることはないが自分の近くでその問題にかかわる態度や意思を求められな時に突然にあらわれる。』と書いており納得した。自分にも、心の深いところに差別意識が隠れているのだ。この意識は決して正しいとは言えないし、直していかなくてはならない。私は作者に大切な事に気付かされた。意識を急に変えることが出来ないと思うが、少しずつ色んなことを経験し、学び、知ることでこのような差別意識を無くしていこうと強く思った。
 ハンセン病が間違った扱いを受ける要因となったらい予防法は1996年まで廃止されなかった。つまり、ごく最近までこの問題は続いていたのだ。しかし私の周りの友達はもちろん、家族もあまりハンセン病について知らなかった。人々は大きな過ちをハンセン病から学んだはずなのに、もう忘れていき、また過ちを知る機会自体も減っている。これではまたハンセン病の時のように同じ事を繰り返してしまう。人々はもっとハンセン病に対して危機感を持つべきだと思った。
 また、この本全体を読んで私は作者は意志の強い人だと思った。そう感じた1つの理由が作者は高校に進学するため、沖縄の愛楽園から脱走する。脱走の移動手段の船に乗る時、外国人の係官に脱走がばれそうになるがなんとか止められずに高校に行く事ができた。作者の行動力や普通の人と同じように学びたいという強い意志は、今の私にはない。作者を見習って、今の恵まれた現状に感謝しなければならないと思った。2つ目の理由は作者は自分がハンセン病回復者であることを隠す事なく生き、社会にハンセン病について正しい意識を持ってもらおうと行動する。しかしその事によって作者は自分の妻と意見が食い違い、家族と離れ離れになることになる。私だったら絶対に家族という大切な人と離れ離れになってまで、ハンセン病を社会のために伝えたいとは思わない。作者の強い正義の意志があったからこそ、今の私のようにハンセン病について知る事ができる人がいるのだと思う。私も作者の意志を受け継ぎ、ハンセン病についての正しい知識を広めていきたい。
 この本を読んで自分の中の差別意識が変わった。また、今まで何気なく生きてきた事がどれほど幸せな事なのかも気づく事ができた。これらは、これから私が生きて行く上できっと大切になってくる。本から学んだことを忘れずに生かしていきたい。