ハンセン病を生きて―きみたちに伝えたいこと―を読んで (5)

ハンセン病を生きて きみたちに伝えたいこと 感想

 私はこの本を読むまではハンセン病についてほとんど何も知らなかったが、この機会に実際にハンセン病を経験された方によってかかれたこの本を読んで、かなりの衝撃を受けた。
 私が衝撃を受けた点は3つある。
 1つ目は、ハンセン病への差別を認めるような法律がごく最近まで続いていて、そして実際に差別がまだ残っているという点だ。この本でも何度も繰り返されていたが、1960年頃には、世界的にハンセン病の患者を隔離する必要がないことが認められており、それにともなって多くの国では差別的な制度が撤廃されていたにも関わらず、日本では一向に撤廃されなかった。そして、ハンセン病患者への差別的な内容が含まれていた「らい予防法」は、1996年になってようやく廃止される。私は、このハンセン病問題はかなりの昔の話で、現在とは関係ないものだというように考えていた。しかし、この事実を知り、そんな遠い話ではないのだと気づき、こんなことがつい最近まで行われていたのだと思うととてもショックだった。
2つ目は、一度ハンセン病を患ったこの本の著者である伊波さんが、これほどまでに積極的に活動しているということだ。ハンセン病の患者は、それだけで差別の対象となることを十分理解していながら、それを隠さず活動し続けた伊波さんの勇気や決意に胸を打たれた。そして、ハンセン病であるというだけで、普通の生活を送ることがこれほどまで難しいのだと知り、このような社会にしてしまった国の責任というのはとてつもなく大きなものであるのだと感じた。さらに、その国をつくっているのは自分たち国民であるので、自分たちにも責任はあることを強く感じた。
 3つ目は、被差別者に対しての普通の人たちの態度はあんなにもひどくなるのかという点だ。この本のなかでも、バスの運転手との出来事のような、著者が受けた差別的な言動や、宿泊拒否事件など、ハンセン病への差別の事件など、様々な例があげられていたが、どれも同じ人間に対する対応だとは思えないものばかりだった。ここまでひどい言動をする人は社会のほんの一部なのだろうが、その言動に対して黙認のような形をとっていた社会の大多数の人々もやっていることはたいして変わらないのではないかなと感じた。
 このように、私はこの本を読んで様々な衝撃を受けたが、やはり一番衝撃的だったのが、ごく最近までこのような差別が法律の下で行われていたということだ。このようなことはもうあってはならないと思い、自分たちももっと実際にあったハンセン病差別について学ぶ必要があると思う。なので、これから生命論でハンセン病の学習が始まるが、そこで色々なことを学ばなくてはなと感じた。