生命論第6回 『感染病について』

今回は、大阪市立大学の土屋貴志先生に『感染病について』の講義をしていただいた。
はじめの1時間で感染病について、倫理学とは何かを教えていただいた。個人的に印象に残ったことが3つあった。まず、感染症というのは、感染する微生物と感染した宿主の抵抗力のバランスの上で成り立つ現象であるということ。次に、世間で盛んに囁かれている、感染症のリスクというのは感染率のみで成り立つものではないということ(感染率×発症率×致死率で決まる)。そして最後に、インフルエンザワクチンには直接的な予防効果がないということである。感染症について、私は色々な面で間違った認識を持っていたということに気がついた。
後の1時間で、ハンセン病のビデオを鑑賞し、私たちが疑問に思ったことを質問させていただく時間が設けられた。私は一昨年実際に愛生園に訪れたことがあり、ハンセン病についての知識も少しあったのだが、ハンセン病の患者が国によって、もっと言うと医者によって苦しめられていたという事実を知り、驚いてしまった。知識あるものがきちんとした情報を流す義務がある。土屋先生の、「医者って案外頭よくないんじゃないかって思ってしまうこともあります。」とおっしゃっていた言葉が、医師が人々にとってどうあるべき存在なのか考え直すきっかけになった。
個人的には、ある生徒が土屋先生にした質問、「なぜ医者は理系なんですか?」というのは確かに今回の講義を受けた人は考えざるをえないものだと思った。あの当時、きちんとした倫理観を持った医者はどれくらいいたのだろうか。
この文面ではまとめきることができない、様々なことを考え直した講義だった。
土屋先生、ありがとうございました。

61期3A38 記