6月15日 マウスの解剖 もち

 今日は、山中先生と研究員の方お二人にお越し頂いて、生命論のひとつのヤマとも言えるマウスの解剖実験を行いました。今回は、『生命誕生のプロセスを観察する』というテーマのもと、生命論選択者全員が班ごとで約2週間、自分たちでエサや水、かごの掃除といった世話をし、交配をさせたハツカネズミを用いての実験でした。                                                                                     まず最初に山中先生に、先生たち研究者が動物を用いた実験を行う時の心構えの4Rをお話しして頂きました。                                           ・Replacement   代替(自分たちの代わりである)                      ・Reduction 削減(出来るだけ実験の数を減らす)                     ・Refinement 洗練(動物に苦痛を与えないよう、出来るだけ上手に行う)           ・Responsibility 責任(その実験に責任を持つ)                                                                       例えば去年の生命論での、体の仕組みを知るためにマウスを、生命誕生のプロセスの観察のためにニワトリの受精卵をといった、2回に渡っての解剖に対し、今年は妊娠したマウスを解剖することで両方の目的を兼ねましたが、これはReductionのひとつです。又、実験の前に動物を死亡させる際、麻酔剤を大量投与することで、動物にほとんど苦痛を与えず安楽死させることが出来るのですが、これはRefinementのひとつだということです。今日もこの方法を用いました。                                                   
 では、解剖の大まかな流れを説明します。                            ヽ独(4人)、オス1匹、メス3匹(必ず妊娠しているものを含む)を、麻酔剤のクロロホルムを染み込ませたガーゼが入ったビンの中に入れ、ふたを閉めて死亡させる。                                                                 ▲咼鵑らマウスを取り出し、1人1匹、紙ナプキンの上に仰向けに寝かせる。                                                          ピンセットとハサミを使って胴体を開き、内臓の仕組みを観察する。                                                              ぅ瓮垢梁瞭發ら子宮を取り出し、乾かさないように水または食塩水につけながら、膜を取り除いて中に入っていた胎児(0.5~1センチ程度)を顕微鏡で観察する。                                                                  テ眤^奮阿良位(脳、背骨、脊髄など)も自由に観察する。                                                                   解剖が終わると、内臓や胎児をマウスの体内に戻し、紙ナプキンで包んでビオトープの近くに皆で埋葬しに行きました。                                                                                       【実験を終えて】                                       『命の大切さは、殺してみないとわからない』森中先生は今までに何度か仰いましたが、実験を終えた今、私は、なぜ人を殺してはいけないかの答えがなんとなくわかった気がします。今回、私が実際に殺し、解剖したのはマウスだけれども、マウス、人間という区別ではなく、全ての生き物に共通する『命』というものを今日感じたからです。さっきまで私の手の平で忙しそうに動き回っていた体が動かなくなる瞬間。手の平にのせてみるとずっしりと重く、さっき感じた生き生きとした温もりは生ぬるい感触に変わっている。あぁ、これが『死ぬ』ということなんだと実感しました。そして、メスの開いたお腹から出てきた15匹もの胎児たち。あと数日後にこの世に誕生する予定だった15の命を同じ命を持つ私自身が奪ったということ。この事実を一生忘れてはいけないと思いました。しかし、解剖していく内に、(もっと知りたい、もっと見たい)という気持ちが生まれてきたのも事実です。人間て不思議。でも、あの時はその気持ちに対して罪悪感を感じたけれど、今は違います。ちゃんと自分が納得いくまで調べて、そして、受け止める。それもこの実験の意義のひとつだと思います。今日の経験は、すぐに何か形になって現れるものではないかもしれないけれど、私のこれからの生き方を示す指針になるはずです。忙しい中2度も私たち後輩のために時間を割いて下さった山中先生、丁寧に補佐して下さった研究員のお二人、そして、私たちにこんな貴重な経験の場を与えて続けてくれる堀先生、森中先生。恵まれた環境に今自分がいることに感謝し、これからの生命論の授業にさらに真剣に取り組んでいきたいと思います。