くすりとは何か―イレッサ薬害から考える (B組29番)

大阪市立大学の土屋貴志先生に、“くすり”についての講義をしていただきました。


機Εぅ譽奪橘害 (資料『薬害イレッサ訴訟』のまとめ)

 イレッサ(一般名:ゲフィチニプ)とは、世界的大企業のアストラゼネガ社が開発した肺がん治療薬で、抗がん剤は点滴によって投与するものが多いが、イレッサは1日1錠飲めばいいというものである。
イレッサは2002年7月に同年1月の承認申請からわずか6か月弱という異例のスピードで
世界で初めて日本で輸入承認され、現在も発売し続けている。

異例のスピードでの承認であったが、「副作用の少ない画期的な夢の新薬」と大々的に宣伝され、
多くの患者たちがイレッサを服用した。

 ところが、イレッサは次々に死亡を含む重篤な副作用被害を発生させた。
イレッサによって引き起こされる副作用…それは、間質性肺炎
間質性肺炎とは、肺間質(肺胞と肺胞の間にある部分)に炎症がおこる病気で、
初期症状として咳や発熱・息苦しさなどの症状がみられるが、イレッサの服用を直ちに中止して、
ステロイドパルス治療を行うなどの対処方法を取らないと、呼吸が不可能になり死に至る。
また、唯一の治療法であるステロイドが聞かない患者も少なくない。

2002年7月の承認以来、厚生労働省に報告されただけでもイレッサによる副作用死が
787人にまでのぼる。(2009年3月末時点)
イレッサを服用し、急性肺障害・間質性肺炎が発症した患者の割合は5.8%で、
そのうち約半分の2.3%の患者が死亡。


供Δすりはどのようにして私たちの手に入るか

 薬事法に則り、医薬品の品質・有効性・安全性は、薬を製造する者や販売する者について
細かく定められることによって確保される。
審査に合格したものだけが製造・販売を許可される。

抗がん剤の治験(くすりの効果を確かめる実験)の特殊性
動物実験で効果を確かめる

第義蟷邯魁(安全性[危険性]の確認、患者に対して)

第響蟷邯魁(適応症と容量の決定、患者に対して)

第形蟷邯魁(有効性の比較検討、患者に対して)

 抗がん剤の特殊性としてあげられることは、抗がん剤は毒性が強い=危険性が高いことから、
第義蟷邯海ら患者に対して行われることである。
また、第形蟷邯海鮃圓辰討い覆ても、第響蟷邯浬了時において高い臨床的有用性を推測させる相当の理由が認められる場合には、承認申請し承認を得ることができる。


掘Δすりに求められる安全性と有効性

・安全性
 異物の混入(薬害エイズ・C型肺炎・ヤコブ病)、手順ミス+検査ミス(ジフテリア予防接種禍)などの
製造ミスによるものや、薬自体の作用(サリドマイド、クロロキン、イレッサタミフルなど)による
薬害が発生。
 
・有効性
 くすり本来のエンドポイント(目標とする状態)は延命効果であり、腫瘍が縮小したり症状が改善したりしたとしても、死んでしまったのでは意味がない。


検Υ響
 今まで自分がいかに処方されたくすりを、何の理解もなく服用していたかがわかりゾッとした。
イレッサ薬害で、間質性肺炎を引き起こす可能性があるということの記載の仕方がよくなかったからとはいえ、患者側ももう少し、くすりを理解しようとする努力は出来なかったのだろうか?
ましてや抗がん剤なんて、自分の命がかかってるぐらい重要なものなのだから、ドラッグストアで風邪薬を買うのとは訳が違うのに…
ここには、国や医師や大企業の承認したくすりに“間違い”があるはずがないといったような
固定概念にとらわれすぎであることが原因としてあげられると考えた。
藁にもすがる思いと言ったが、すがった藁で自分の命を落とすことになるなんて悲しすぎるので、
社会全体でもっと“くすり”の本来の使用法について考えるべきだと思った。