第三回

5月1日(木) 5、6限

今回の授業では、京都女子大学現代社会学部教授、大阪大学医学系研究科招聘教授の霜田求先生に
『脳と心』というテーマで講義して頂きました。

講義内容
○霜田先生の講義
 1.恋する脳
  人を好きになる時→女性ではオキシトシン、男性ではバンブレシンという特定の神経ホルモンが分泌
           ※オキシトシン…愛情ホルモン、共感ホルモンとも言われる。
                   特に赤ちゃんを出産する際に多く分泌される。
  オキシトシンバンブレシン→快楽を感じる『報酬系』を刺激
               →脳内快楽物質(ドーパミン)の分泌量を調節→満足感、多幸感を得る

 2.脳の画像化
  fMRIによって脳の画像化が可能になる。
  →精神疾患の可能性などを診断すると、就職などの際に差別が起こってしまう可能性がある。
  ※fMRI(機能的磁気共鳴画像法)…血流濃度によって色分けされた人間の脳の画像と動画から
                   脳活動の様子を観察する方法。
  
 3.脳は嘘をつけない!?
  人に嘘をつく時→表面では平然としていても、脳内は普段とは違った反応を見せる。
          つまり、脳では嘘を隠せない。
  今までポリグラフ嘘発見器)、脳指紋法、fMRI虚偽検出法など様々なものが開発されたが、
  どのデータも実用化にはほど遠く、裁判での証拠能力もない。

 4.薬物の脳への作用
  向精神薬は多くの患者さんに処方されている。
  →患者ではない人も利用して、依存症などになるケースが増加。
  
  トラウマを消す薬(米軍兵士のPTSD心的外傷後ストレス障害)に対して)
  DCS(Dサイクロセリン)…恐怖記憶の消去を促進する。
  
  オキシトシン自閉症アスペルガー症候群の患者さんに対して)
  →人とのコミュニケーションに関係する脳の一部分が活性化
  ※オキシトシン…子宮を収縮させる作用がある。
          共感薬、信頼薬とも呼ばれ、惚れ薬として販売されている。

  臨死体験=死後の世界を見た
  →心臓が止まると、脳が酸欠状態になり、今まで働かなかった脳の細胞が一気に働いたり、
   脳内麻薬物質といわれるエンドルフィンが分泌される事によって起きる。

感想
 霜田先生のご講演から、心と脳には大きな関係性があるという事を改めて感じました。
 特に、植物状態の人は体を動かせないけれど、3、4割の植物状態の人は頭の中で様々な事を考えて
 いる事が明らかになったと聞いて、植物状態の人が涙を流したりする反応にこの現象が関係しているの ではないかなと思いました。
 また、惚れ薬(オキシトシン)の効果が見られる人よりも効果が見られない人の方が多い事から、人を
 好きになるという現象は、ただ薬を飲んだだけで起こるのではなく、脳の様々な部分が複雑に反応して
 いるからこそ起こるという事に面白さを感じました。
 霜田先生はとても気さくな方で、時にユーモアを交えながらお話をして下さり、私たちの様々な質問に
 対しても優しく丁寧に教えて下さいました。
 本当にありがとうございました。
                                                   5月3日(土) 13:21 3C 34