第六回


更新が遅くなってしまい大変申し訳ありません。


2014年6月5日 5,6限

今回は、大阪市立大学 文学研究科・文学部 哲学教室の 土屋 貴志先生 に
『医薬品の安全性について ~医療はなぜ「ウソ」が通用するのか~』
というテーマで講義をして頂きました。

講義内容
○.医薬品をめぐる今日の問題 ~最近の事例から
 1 ディオバンという高血圧の方のための降圧剤の開発データの操作
   →『心筋梗塞脳卒中を起こしづらい』と言われていたが、実は他の物とそんなに変わらなかった。
 3 子宮頸がん予防ワクチン接種が定期接種化から一変『積極的な接種勧奨の一時差し控え』へ
⇒医療に関する情報は倫理的に見ると”ウソ”が多すぎる。
 そしてその”ウソ”はわかりづらく、気付きにくい。

○.イレッサ薬害
 2013年春に最高裁にて敗訴となった抗がん剤イレッサによる薬害に関する訴訟。
   →イレッサとは?
    イギリスのアストラゼネカ社が製造した肺がん用抗がん剤
    2002年7月に承認申請からわずか5か月あまりという日本にしては異例のスピードで、世界で初めて
    日本が承認した。
    『がん細胞だけを狙い撃つ”分子標的薬”だから副作用が少ない』などと広く報道されたが、販売開始
    直後から多数の副作用死が出た。
 別途資料:最高裁判決前の原告側小冊子 確認
 映像資料:毎日放送「夢の新薬の幻想~抗がん剤イレッサ副作用被害~」 
   →なぜ敗訴したのか?
    ”インフォームドコンセント”のみに論点が絞られてしまった。

○.「医薬品」になるためには?
 薬事法と治験(=”人体実験”)を終えたものであること
 →条件
   人に対して  ・安全であること  ・有効であること
   つまり、健康な人を害さない。肝臓できちんと毒物を分解できる、ということ。

○.薬害の種類
 1 製造ミス
   異物の混入:薬害エイズC型肝炎など
   手順ミス+検査ミス:ジフテリア予防接種禍など
    ⇔品質管理・・・?
 2 薬自体の作用
   子供に奇形が多く見られたサリドマイド、失明を引き起こしたクロロキン、イレッサ
   効果はほとんどないにもかかわらず危険なタミフルなど
    ⇔副作用の見極め

○.抗がん剤の特殊性
 抗がん剤とはそもそも細胞に対しては毒である。
 健康な細胞は傷つきはするが生き残り、がん細胞は死ぬ、というぎりぎりのラインを見極めなければならない。
 よって抗がん剤の治験は
   第Ⅰ相試験から患者に対して行う。
   第Ⅲ相試験を行っていなくても認可。
   2005年度までは腫瘍縮小効果があれば、延命効果がなくても承認されていた。

○.有効性
 延命効果が本来のエンドポイントであって、腫瘍縮小や症状改善が見られたとしても死んでは意味がない。
   『薬は効いたが患者は死んだ』?!
 効能の現れ方は人によって異なる。
   『飲んだ 治った ゆえに効いた』は間違い!
   プラシーボ(ニセ薬)を飲んだ人の中の30%は、有効成分が入っていなくても治る。

○.インフルエンザ
 ワクチンは体内の免疫機能を呼び起こすだけなので、予防効果がない。
 タミフルリレンザはウイルスが細胞からでてくるのを抑えるだけ。
 脳に作用するから熱は下がるがウイルスは増え、異常行動や突然死を引き起こすこともある。
 脳症はウイルスのせいではなく、強い解熱剤を使うことによるサイトカインの急増が原因。

○.子宮頸がん
 子宮頸がんとは?
   →性行為などで子宮頸部にできた傷口からヒトパピローマウイルス(HPV)が入り感染する。
    感染が持続すると子宮頸がんになる。だが大抵は免疫で治ってしまう。
    がん化しても3/4は子宮頸がんでは死なない。
 HPVワクチンの作用
   →16型と18型にしか効かない。(日本では43%程度)
    免疫系を強く刺激するから、急性・慢性の反応を引き起こす。副作用がとても大きくなる場合も。
    『子宮頸がんを予防する効果を”期待”』されているだけであり、本当に効くのかはまだわかっていない。

○.なぜ医療では「ウソ」が通用する?
 有効性は統計的なものであり、「ある個人に対してどうか」というのはわからない。
 製薬企業はハイリスク・ハイリターン。
 日本のメディアは、広く浅い知識を持つようにジャーナリストを育てるため、専門的知識がない人によって
 書かれることが多い。
 原因がひとつに絞れないならば、それと決めつけることはできない。

⇒『騙されないように自分で考える』ことが大切!


感想
今まで当たり前だと思っていたインフルエンザワクチンや、タミフルリレンザと言った薬が、
実は意味がなかったり、危険だということを知り本当に怖くなりました。
またわたしは、子宮頸がんのHPVウイルスの予防接種も受けたので、もし自分があの時
こんな風な重篤な副作用が出ていたらと思うと恐ろしいです。
わたしたちは専門的なことはまだまだ分からないことが多く、それゆえ騙されてしまうことも
ありますが、自分の身体と命は自分で守るしかないと思うので、これから生きていく中で
もっと知識もつけて、『騙されない人』になちたいです。
そして、医療を行う側は、受ける側の理解に完全に任せるのではなく、少しでもわかりやすく
事実を伝える努力をすることで、より良い医療の在り方につながるのではないかなぁと思いました。

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