第八回

6月19日木曜日5・6時間目
 
今日は、淀川キリスト教病院がん診療センター緩和ケアチーム緩和ケア認定看護師の杉田智子先生に、
いのちの限りと向き合う―ホスピスでの実践より―
というテーマで講義していただきました。
 
○日本人の2人に1人はがんになると言われている
 →がん対策を計画的に推進する必要性がある
  →がん対策基本法成立(2007年4月)
   ・がん予防および早期発見の推進
   ・がん医療の均てん化の促進
   ・研究の推進
○がん対策推進基本計画(平成24年~28年)
すべての患者・家族の安心のため、
 ・がんによる死亡者の減少
 ・すべてのがん患者と家族の苦痛の軽減・療養生活の質の向上
を目指す。
 ・がん相談支援および情報提供
 ・患者・家族の心のケア
 ・患者・家族が体験を語り合える場の提供
 ・患者団体との連携
 ・がんに対する普及・啓発
などが求められている。
 
○緩和ケアとは
生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題に関して予防したり、対処することで、クオリティ・オブ・ライフを改善するアプローチのこと。
がんに伴う痛みには以下のようなものがある。
・身体的苦痛(体の痛み、倦怠感、不眠など)
・精神的苦痛(不安、いらだち、うつ状態など)
・スピリチュアルな苦痛(死への恐怖、自責の念など)
・社会的苦痛(経済的な問題、仕事、家庭の問題など)
 
ホスピスケアの基盤となる考え方
・基本的ケアの徹底
 →身だしなみを整えるなど
・「その人らしい」最期を
 →延命をするのか、最後まで治療を続けるのかなど
・死の現実から目をそらさない
 →死と向き合いつつも、市にとらわれることなく、できるだけ普段通りの生活を
・真実への権利
・細やかな患者の理解
 →自分の価値観を括弧に入れて、相手の語りをじっくり聞く、語りの背後にある勘定について探る、など。
 
○アドバンス・ケア・プランニング(事前ケア計画)
将来に備えて、大切にしていること、今後の治療や療養についてあらかじめ話し合うプロセス
・アドバンス・ディレクティブ(事前指示)
患者或いは健常人が、将来判断能力を失った際に、自らに行われる医療行為に対する意向を前もって示すこと(リビング・ウィルの作成、代理決定者の委任など)
・DNARオーダー
急変時または末期状態で心停止・呼吸停止の場合に、蘇生処置をしないという取り決めのこと
 
○「希望は必ず見つかる」 プロフェッショナル 田村恵子 
ガン医療の高度な知識と技術を持つガン専門看護師である田村恵子さんの、淀川キリスト教病院での仕事を記録した番組(NHK)。
対話を通して患者さんの精神的苦痛を取り除く様子や、患者の決断を支える様子が印象的だった。

感想
今まで、自分は死ぬとき死への恐怖を抱えたまま死んでいくだろうと思っていましたが、必ずしもそうではないのだと気づきました。
患者さんたちは、自分よりもずっと時間を大切にして生きているように感じられ、自分も今あるときを大切にしなければならないと思います。
また、自分や、自分の周りの人が死に瀕した時にどうするのか考えることは話の重さから避けられることが多いけれど、必要なことなのだと感じました。
 
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