春休みの課題  ハンセン病を生きて ―きみたちに伝えたいこと ― 伊波敏男 著 (岩波ジュニア新書) を読んで (3)

私はこの課題が出るまでハンセン病のことをほとんど全く知りませんでした。聞いたことはあったかもしれませんが、こんなに深い歴史がつまっている病気だと認識していなかったと思います。
この本では間違った認識を信じている大人たちのハンセン病に対しての「偏見」や「差別」という言葉がたくさんでてきますが、私がハンセン病のことをほとんど知らなかったということは、偏見があり差別されていることがある、ということすら知らなかったということです。私は第1章を読んだ時、私が知識不足ということもあるのですが、法律や裁判の結果のおかげで昔よりも差別が減ったから話題にならないのではないかと思いました。しかし、第2章のアイスターホテル宿泊拒否事件が2003年に起こったということを知ってとても驚きました。裁判で、これまでの政策が間違いだったと認められてから数年経ってもこんなことが起こっていたなら、昔よりも差別が減ったというわけではないんだと気が付きました。
ホテル側の「元ハンセン病患者の宿泊は、他の宿泊客に迷惑がかかる」という理由には、気になる点がたくさんあります。まず「元」ということは病気がもう治っているということがわかっているということなのに、なにがどのように人の迷惑になるのかがよくわかりません。そして「他の宿泊客」と書いてあるところに言い訳らしさを感じました。これが典型的な「偏見」なんだなと思いました。日本でも日本書紀の時代からある病気で、その時代から人に伝染するから隔離しなければならないと言われ続けていたなら、その感覚が抜けないのは当たり前のことのような気がしてしまいます。ですが、その感覚よりも、もう隔離し続けなくてもいいという医学的な事実を大切にしなければならないと思いました。私たちの身近なことでも、例えばオタクが悪いイメージを持たれたり、若者は全員まとめて非常識だと言われたりすることも偏見の一種だと思います。私にはハンセン病のように知らないことがたくさんあるので、他人から聞いた印象を鵜呑みにしてしまっていることもたくさんあると思いますが、できるだけ色々なことについての事実を知って、私が持っている偏見を減らしていかなければならないと思いました。
そして批判の手紙を本の中で読んだ時に、匿名だからこそ言えるとにかくひどい言葉や全く筋の通っていない話だらけで、すごく不快な気持ちになりました。特に見た目に関しての悪口を見た時はとてもびっくりしました。しかし中には、入所者が謝罪を拒否したことなどから論理的に批判をしていて思わず納得してしまいそうになる文章もありました。そのような文章を書く人たちは、本当に自分の言っていることが正しいと思っていて、批判することを悪いことだと思っていないのだろうなと思いました。もし今後そのような人たちに出会っても、内容がどうであれ人を批判することは良くないことだという感覚を忘れないようにしたいと思いました。
この本を読んで、事実を知らないということがどれだけおそろしいことかが少しわかりました。今でもハンセン病に偏見を持っている人も多いかもしれませんが、私のようにハンセン病のことを全く知らない人もいると思います。そんな人たちが、偏見を持っている人たちの意見を鵜呑みにしてしまう前に、私がこの本を読んでハンセン病について正しく理解したように、事実を知って考えてもらうことができたらいいなと思いました。戦争のことが何十年経っても忘れられないようにと語り継がれるのと同じように、ハンセン病が偏見を持たれていること、政府が間違えたといわれることも、今後同じような過ちを繰り返さないためにもっともっと広まるべきだと思いました。そして少しでも偏見を持ったままの人が少なくなればいいと思います。この本を読んで、偏見や批判について考えなおすことができてよかったです。