春休みの課題  ハンセン病を生きて ―きみたちに伝えたいこと ― 伊波敏男 著 (岩波ジュニア新書) を読んで  (2)

ハンセン病。耳にしたことはあるけどどんな病気が全然知らなかったし最近ではニュースで取り上げられることもないからそんなに重い病気ではないのだと思っていました。しかし今回この本を読んでハンセン病とはとても重い病気で身体への負担も大きく苦しいものだということ、また患者の方々は病気で身体が苦しめられるだけでなく、国が決めた法律などによって社会から隔離され差別を受け心に深い傷を負ったということを知りました。家族に影響するからと名字まで変えさせられ、実家には帰りたくても帰ることが出来ないということにはとても驚いたしそのような人が戦後全ての人に自由が与えられたはずの日本に存在するのはおかしい、人権もなにもあったものじゃないなと感じました。
 私は読んだ中で特に「差別」ということについて考えさせられました。本の中で、大人達は国の法律や間違った情報からハンセン病についての偏見を持ち患者の方々に手紙などでひどい言葉を浴びせたが子供達は患者の方々について理解を深めようとしその結果子供が社会を変えることに繋がった記されていました。大人達の手紙の一部を読んで、とてもひどいしこんなことを書かれたら私だったら精神的に病んで塞ぎ込んでしまうかもとすら思いました。では自分がそのハンセン病問題がある時代に生きていたらどのように感じていたんだろう?私は、頭では差別がいけないとわかっていても、実際ハンセン病の方に限らず自分とは異なる身体をした人が目の前にいきなり現れたら普通の人と同じように接することができる自信がありません。出来ればあまり関わりたくないとさえ思うかもしれません。でもそれは私がその人の外見だけをみて全く内面を知らないからです。その人を○○病の人、などと区別を付けて見るのではなくて、一人の対等な人として向き合えばきっと関わりたくないと思ったりすることもないでしょう。最近私は、身近に今まで自分が出会ったことのない障害を持った人が現れてこれからどのように接していったらいいのか悩んでいます。偏見を持った目で見ることはいけないのはわかっているし普通に接さないといけないことはわかっているけどいざ喋るとなるときっと戸惑ってしまうと思うからです。しかしこの本を読んで、著者が子供達に「自分達に何が出来るのか」という質問を受けた時に「一番大事なことは、自分の問題としてハンセン病問題を学ぶこと、人のことだからいいんじゃなくて自分がその立場だったらどうするのかを考えることが大事」だと答えられていたのを読んで、全くその通りだと納得しました。今自分が悩んでいることも、これから先、生きていく上で直面するかもしれない問題も、客観的に相手の立場になって考えることで上手く対処することが出来たらいいなと思います。
 もう一つ。ハンセン病の方々はとても強いと感じました。きっとこれは健全者の私がたった1冊本を読んだだけで感じたことだし全員がそうとは限らないかもしれません。でも少なくとも私よりは強いと思います。著者の井波さんは中学生の時にハンセン病になって以来療養所に入り、高校で勉強したいとの一心で沖縄から岡山への脱走を決めたり、初めての会社で向けられた視線を気にすることなく働いたり、妻に別れをつげられ子供たちと暮らせなくなるのはとても辛かったはずだけどそれでも自分はハンセン病についてたくさんの人たちに理解を深めて欲しくて人の前に出ることをやめなかったそうです。周りに反対されたり批判されたりしてもなお自分の決めたことをやろうとする、ということはなかなか出来ることじゃないと思います。その点でとても強く意思を持った方だなあと思ったし私もこのように強い意志を持って行動出来る人になりたいです。
 この本を読んで普段普通に暮らしているだけじゃ感じることの出来ないことを感じたのでこのことを忘れないようにしたいです。