長島愛生園研修 2年生(B33)

 療養所内に納骨堂があるということは福祉が充実しているということではなく、遺族が周りの目を気にして、亡くなった後でさえ残る、「第三者側の」差別や、ハンセン病患者だと思われたくない「親族側の」感情が交差して出来上がる事実である。
 世界中、あるいはどの時代を遡っても差別はあるが、ハンセン病に関する戦前の歴史は特殊だと思う。まず、医学の歪んだ知識と無責任な噂より、ハンセン病は不治で遺伝する病気だと勘違いされたこと。
 次に、無らい県運動に見られるように、国や地方自治体が政策を見誤ったことが絡まり、80年を超える島での生活を余儀なくされる結果を生んだ。
 しかし、私が愛生園見学で、事実は複数あるということを改めて考え直した。ある人は親に連れて来られ、不安な思いで入園した人もあれば、一方ハンセン病に対して差別のない愛生園に入れて安心した人がいる。「ハンセン病にかかり愛生園に療養に来た」と言えども、必ず悲劇だと感じる人だけではいないのだ。だだ、その根源は確かに偏見や差別である。私はそこに、ハンセン病に関する歴史の最大の悲劇性があると思う。