長島愛生園研修 1年(M)

 ハンセン病の元患者さんのお話を直接伺って、私はかなりショックを受けました。事前の講演や資料館の見学で知識を備えていても、直に経験を聞くと非常に苦しく思いました。その方は戦後政策が変わった後も、実兄に家に帰ってこないでほしいと言われ、母親の死すら知らされなかったと仰っていました。家族なのになぜそこまで冷遇されなければならなかったのでしょうか。最近でもショッピングに行った時に自分が歩いた先からモップで道を拭かれたという話をされていました。それらに私は、正しいことを知らない、無知は怖いという本当の意味を、突き付けられたようでした。
 また、他の入所者の方が言ったこととして「愛生園での生活は療養に来たのではなく、労働に来たようだ。」という言葉も印象に残っています。療養に来ているのに、自分より重度の症状の人を看護したり、肉体労働をしたりしなければならなかった過酷な環境。私にはその生活ははっきり想像することはできませんでしたが、そのひと言で当時の様子が頭に刻みつけられました。
 私が今回愛生園を訪問して強く感じたのは、間違った情報がハンセン病の患者さんや家族に与えた影響の恐ろしさと、私たちはそれに対して真摯に向き合わなければならない、ということでした。