『ハンセン病を生きて-君たちに伝えたいこと』感想文 A 29

『無知』というものは『罪』である。
私は伊波敏男さんの実体験を踏まえたこの本を読んで、そう思いました。ハンセン病(らい病)回復者である彼の本は、優しい言葉で書かれてはいますが、逆境や喜び、そして私たちにはどうあってほしいかという願いが凝縮されています。
あなたは、『ハンセン病』と呼ばれる病気をご存知でしょうか。この病気は、らい菌に感染し、且つ様々な要因が重なることで発病する、慢性感染症のことです。症状としては、末梢神経障害・皮膚症状が主ですが、重症化した場合には、失明・脱毛・変形などが起きます。そのため、重症化した場合には後遺症が残ってしまうケースがあります。
私は、この病気について名前は聞いたことはありました。詳しく知るきっかけとなったのは去年の5月、6月頃でした。この生命論の一貫で、岡山県にある愛生園にハンセン病を学びに行くというものがありました。それに第2学年のときに参加した時です。初めに病気の概要を知った時は、『後遺症が深刻→感染力が強い?』と勝手に思ってしまいました。しかし、講演会や愛生園の見学、お話を通して、正しい現実を知りました。私の考えはただの偏見であったのです。現実としては、『らい菌の感染力は非常に弱いため実際には隔離しなくても良い』ということ、『感染症なので、遺伝病では全くない』ということ、『特効薬プロミンが1943年にアメリカで開発されていた』ということ、そして、『感染率の低い感染症であるにもかかわらず、法律によって施設送りにされ隔離されたりした』ということ。私の中での凶悪であったハンセン病が、すこし和らぎました。治る病気だったのかと。
今回でハンセン病についてより詳しく知ることができました。特に印象的な事件は、『アイスターホテル宿泊拒否事件』に関してです。ホテル側が元ハンセン病患者一向に対し宿泊拒否をしたという事件です。その後のホテル側は謝罪に行きましたが、元患者側は拒否しました。このことについて、元患者側の元に手紙がいくつも届きました。わたしは、この手紙を読んだとき、恐怖を覚えました。手紙は心のない冷ややかなものばかりでした。ハンセン病についての裁判が勝訴した数年後ということもあり、過激な内容でした。このような文を作ることになるのも、正しい情報を知らないからではないかと私は考えました。今までのことを知らないために、刃物むき出しのような文を作ってしまうのかと。
現在、豊富な情報手段を用いて様々な情報が手に入ります。今、このブログを読んでいるパソコン、スマートフォンなどを利用すればインターネットを利用して、膨大な情報にアクセスできます。しかしながら、そのような時代になっても、半端な知識を持って利己的な意見や無慈悲な意見をネットに投稿し、一部の人を傷つけるそんなことが起きてしまっています。それは、『無知』だからできることと思います。はっきりと理解することなく、『偏見』のまま語る言葉は『罪』と私は考えました。
わたし達は、様々な問題に興味を持ち、手にもつスマートフォンなどを使って、正しい情報を知ろうとすべきと思いました。