「ハンセン病を生きて_きみたちに伝えたいこと」感想文3A25

私は去年長島愛生園へ行った。だからこの本にはとても興味があった。この本を読み終えてまず第1に思った事が、去年実際に長島愛生園へ足を運んで、ハンセン病患者の方のお話を聞いたり、園を歩いたりして、自分が分かったつもりでいた、という事だ。本には本でしか分からない事があった。まず、印象に残った事は「アイスターホテル宿泊拒否事件」だ。ホテル側の拒否した気持ちは正直分からなくもない。お客が減るのは経営側からしたらとても痛いことであると思う。しかしやはりそれは差別、偏見に過ぎない。また、ハンセン病患者の方の気持ちを考えると胸が痛くなる。そして本文の中で紹介されていた、匿名の大人達からの冷酷な手紙達に正直引いた。自分の心の中で留めて置いたら良い事をわざわざ文字にして、ハンセン病患者へ送りつけ、筆者と同様、何て心の無い大人達なのかと思った。それに対し数十年しか生きていない子供達は真実がきちんと見えていて、心の曇った大人達と考え方が天と地の差で、同じ人間でもここまで違うのかと驚愕した。私は大人と子供の間の年齢で、大人達がおかしいと思った。自分が大人になっても、こういう大人にはなってはいけないと思うし、絶対なりたくない。これに対し、本文で例として出ていた長みねさんのお話に涙が出そうになった。長みねさんは自分の生涯をハンセン病患者として生き、平凡な日々が奪われた。しかし、国の法律が変わり、古き友人に再開した長みねさんは、恨みどころか、ハンセン病を天の職とし、全ての人に感謝していて、私は感動しました。とても強い人だと思ったし、私ならこんなに強く生きる事が出来るだろうか、全ての人に感謝し前向きに生きる事が出来るだろうか。きっと無理だと思う。優しさを見失った大人達はこういう人を尊敬し、こういう人にならなければいけないと思う。私はハンセン病にかかった事も無いし、当事者では無いから、全ての事は分からない。だけどこの本一冊だけでも様々な人生が書かれていた。筆者がこれだけの経験をしているのだから、他のハンセン病患者一人一人の事を考えると、きっと私達の想像を超えるような経験をして来た方ばかりな気がする。私は一つでも多くその経験を聞き、後世や今現代を生きている人達へ伝えていかなければいけないと思う。ハンセン病は当事者だけで無く親族にも辛い思いをさせる。筆者の家族も、血が繋がっているというだけで差別され、筆者に関しては離婚という形になってしまって、幸せをまた奪われたと書いていた。ハンセン病は病気としても怖いが、家族や人の心を壊すという更に恐ろしい特徴を持っている。しかし私はこれはハンセン病が悪いというより、ハンセン病患者に対する偏見や、ハンセン病は感染病でないと分かってからも法律を放置した人達が悪いのではないかと思う。ただの日本人の集団心理ではないだろうか。どうしてハンセン病の事をよく知ろうとす
る前に否定するのか。私はハンセン病は日本だけの病気であると勝手に認識していたから、海外でも発症していると知り驚いた。本文で書いていたと通り、医学はハンセン病に勝利しつつあるが、本当の勝利はハンセン病患者が病気からも差別からも救われて初めて得られるものでは無いかと思う。私は優しさを見失わないようにこれから生きて行こうと思う。そしてまた今後更にハンセン病について詳しく勉強していくのがとても楽しみになった。