活動報告(令和2年度5月14日)

令和2年度初回の生命論は午後から始まった。選択授業のため受講を志願する生徒が集まり、『いのち』や『生物・環境』について、おしゃべりではなく議論を行う。そのような場にわたしはあまり出会わなかったため、とても緊張していた。
新型コロナによる休校のため,オンラインで行われることとなった授業は新鮮であり、直接顔を合わせなくて果たしてうまく行くのだろうかという不安もあった。
簡単なカメラや音声の確認のあと、早速先生方がガイダンスとして、活動内容についての主な説明を行った。しかし、ラットの飼育・解剖や長島愛生園などへの施設訪問など予定されていた活動はことごとくいつ行うか定まっておらず、仕方のないことだけれど、少し落胆してしまった。
一通りの説明を終えたあと、先生は事前にGeogle classroom で連絡されていたとおり、一人一人に『環境論を選択した動機・学びたいこと』の発表を求められた。そのときのわたしは『もちろん進行は先生が行うのだろう』と非常に甘い考えを持っており、いつ自分の番が来るのだろうかと呑気に考えていた。そのため、そのあとの司会進行の一切を、生命論のなかでの出席番号が1番であるわたしが行うと言われたとき、思わず変な声をあげてしまった。『自分達で行う』活動をするとは聞いていたものの、まさか初回で司会進行を任されるとはつゆにも思っていなかったので、しどろもどろにぼそぼそと話しながら発表会は始まった。わたしの頭のなかは半分パニック状態である。
まず、わたしは自分がなぜ生命論を選んだのかについて話した。頭のなかでは形作られているのにも関わらず、言葉にするのが非常に難しく何度もどもってしまった。ざっくり言うと、「わたしは、幼い頃から読書をするのが好きで、今まで読んだいろんな本に『死』についての描写があった。『死ぬ』ということに対して、人はどう思っているのか、わたしはどのような考え方を持っているのか、それが知りたくて選択した。『万人の持つ死の権利』について調べ、話し合いたいなと思っている」とまあ、こんな感じだ。
そのあと、メンバーの話を聞くとき、わたしは、出席番号順に当て、話してもらってから質問・意見を聞くという方法をとった。最初の一人二人は先生方にフォローしていただいたりしたが、このままではだめだと思い、メモをしっかりとって、できるだけ質問するよう心がけた。
まさに『十人十色』という言葉がふさわしいほどにさまざまな意見や考え、動機があり、とても面白く、一人、パソコン越しに、にやにやしていた。メンバーの中にはわたしと同じ、「人の死」について語っている人も多かったが、それ以外にも面白いのがたくさんあった。
以下にわたしが興味を持った面白い動機や学びたいことをいくつか載せておく。
・今まで、いわゆる「社会的弱者」といわれる人と関わることが多く、人権や法律に興味を持った。これらは大学でも学べるが、大学ではあまり議論をしないときいて、生命論をとれば、いろんな意見を聞けると思った。
・将来は医学の道に進もうと思っているが、ただ勉強ができるだけでは、患者とのコミュニケーションは取れないと考える。生命論では「現代の医学」について、学び、話し合いたい。
・自分は人の死についてあまり興味がなく、どちらかというと生き物について興味がある。人が死んだら悲しくなるのは当たり前のことだが、他の生物と悲しみの差がある。その差はどこから来るのか気になった。あまり将来の夢について考えたことがないので、たくさん議論して、役に立てるような人間になりたい。
・進路は文系だから、生命などにかかわることを議論することは高校生以降もうないと思う。LGBTなど国際的な問題に興味があり、たくさん議論したいと思っている。
全員の意見を聞いたあと、わたしはメンバーの動機が『人の死』と『生き物』の大きく二つに分けられることを見つけ、自分が学びたいと思っていること以外にはどう考えを持っているのかを何人かに聞いてみた。自分のテーマに結びつけて発言をしたりする人や、新たな問題を見つける人もいて、この質問をしてよかったと思っている。
最後に、先生方にまとめとして発言していただいた。先生方は、やはりわたしたちが考えられないような意見を出してくださり、ハッとさせられることが多かった。『人の死』を考えている人は多かったが、先生が出された「どこから人なのか?」のという問いをそもそも考えていない人が多く、わたしの中ではとくに心に残った。また、今の討論の様子を見てこれからもやっていけると安心してくださったそうでよかった。
突然当てられたこともあり、終始しどろもどろな司会となってしまった。次にやるときは、もっとしっかりはっきりと話したい。最初は、緊張や不安が大きかったが、今はこれからの活動に心踊る毎日である。次回が楽しみでたまらない。
次の討論は三個ほどのテーマに分かれて、議論を行うそうである。自分の意見をしっかりもってよりよい時間にしていきたい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。