薬害問題(3B3番てつ)

大阪市立大学 大学院文学研究科 准教授の土屋貴志先生に講義していただきました。
内容は薬害の現状についてでしたが、途中薬害の話から派生して、
今の医学部の現状など、さまざまなお話をしていただきました。

まず、先生が書かれた、パターナリズムについての論文のお話をきかせていただき、
そのあとに薬害の話に入っていきました。

一口に薬害といっても、薬害には薬そのもの(イレッササリドマイドなど)に問題がある場合と
薬に何かが混入すること(HIVC型肝炎など)によるものがあります。
今回は前者の薬そのものに問題があった、「薬害イレッサ訴訟」について
お話をきかせていただきました。


イレッサとは?
 イギリスのアストロゼネカ社によって開発された抗がん剤で、
日本では2002年7月に承認された薬のことです。
 従来の抗がん剤は、点滴による投与が多かったのですが、この薬は
経口投与(錠剤)が可能でした。
 また、「副作用の少ない画期的な夢の新薬」と大々的に宣伝されえたことも
あり、被害が広がりました。


イレッサの副作用
 「間質性肺炎」というもので、肺胞と肺胞の間にある部分が炎症を起こす
病気です。この病気は死の苦しみといわれるほどの苦痛をもたらします。


○薬害の現状と問題点
 この問題について、NHKで特集されていたものをビデオでみせていただきました。
そこでは、この問題に関して医師の意見や、患者の意見などを聞くことが出来ました。
 そして、薬害についての問題点が浮き上がってきました。
 
・「利益相反
 新薬を開発する科学者はスポンサーとして製薬会社がバックアップ
しているが、開発の資金などを頼っているためもし研究でスポンサーにとって
悪い結果が出たとしても科学者としては報告しづらい。
    →薬害の副作用の隠蔽が起きる可能性も。。。
  対策としては・・・
   論文にスポンサー名を記載させるなどの方法があります

・日本の国の対応の悪さ
 日本は他国に比べ、薬の承認が遅いことでずっと非難されてきました。
そこで、国は今回は、ということでイレッサを異例の速さで承認。
それが今回の薬害問題につながりました。
 また、他国の場合、薬の承認は延命効果の証明がされていなければ
承認されませんが、日本はガンが小さくなれば、延命効果がなかったと
しても承認していました。ここにも原因のひとつが伺えます。

イレッサが今も使用されている現状
 副作用として死をもたらす間質性肺炎を引き起こすことが分かっているのに
まだイレッサの需要がたえません。それはなぜか?たしかにイレッサ
抗がん剤として効果をもたらすからです。
 しかしここでの問題は、死をもたらす副作用をもつ薬を使うか使わないかを
患者の自己決定権として認めてしまっていいのかという問題です。


薬害イレッサ訴訟はまだ続いています。いち早く解決して欲しいと思います。