活動報告(令和2年度6月3日) -遺伝学の基礎-

6月3日 活動報告

 

今日の生命論の授業では、遺伝学の基礎の講義を聞いた。

 

私たちの体には23対の相同染色体がある。

染色体のなかでもどの位置にどんな遺伝子があるかは染色体ごとに決まっており、同じで位置にある遺伝子の対を遺伝子座という。中でも遺伝子座に異なる遺伝子が入っている場合はそれを対立遺伝子という。

それぞれの遺伝子はタンパク質の形成に関わり、生物によって持っているものいないものがある。

例えば、アミラーゼをつくる遺伝子、AMI1Aを持つ生物としてはヒト、チンパンジー、マウス、ショウジョウバエ、線虫等がある。個人的には、同じ遺伝子をこれだけの様々な生物が持っていることに驚いた。

 

遺伝子が存在することと、その遺伝子の影響が形質として現れるということは同義ではなく、前者を遺伝子型、後者を表現型と言う。

エンドウ豆のしわ型まる型は有名な具体例だ。

しわのあるエンドウ豆をつくる遺伝子をr、

まるのエンドウ豆をつくる遺伝子をRとすると、

遺伝子のペア(=遺伝子型)はRR、Rr、rrの3つが考えられる。

しかし、実際に現れる形質(=表現型)はしわ、まるの2つであり、rrの際はしわ、Rr、RRの際はまるとなる。

この現象はしわの遺伝子は潜性(劣性)であり、まるの遺伝子は顕性(優性)であるために起こる。

劣性の遺伝子はホモ接合体(相同染色体のどちらも同じ遺伝子を持つ)の場合のみ表現型に現れ、顕性の遺伝子はホモ接合体の場合もヘテロ接合体(相同染色体がそれぞれ異なる遺伝子を持つ)の場合も表現型として現れるのだ。

 

ヒトの遺伝子性疾患の多くは潜性遺伝子として遺伝する。

そのうち、常染色体に疾患を引き起こす潜性遺伝子が存在するものを、常染色体劣性遺伝といい、肝障害や脳障害を引き起こすガラクトース血症が代表的だ。

一方、性染色体に潜性遺伝子として受け継がれるものを伴性遺伝、特にX染色体に対するものをX染色体劣性遺伝という。この場合、XXを持つ女性に対しては、どちらのXも特定の遺伝子を持っている場合のみ形質に現れるが、XYの男性に対しては、その1つのXに遺伝子を持っていると、形質としてあらわれてくる。そのため、この遺伝子疾患は男女により発症率が大きく異なる。赤と緑の識別が難しい色覚多様性を引き起こすものが例として挙げられる。

また、顕性遺伝子として遺伝するものを常染色体顕性遺伝子といい、高コレステロール値、心筋梗塞などの症状を引き起こす、家族性高コレステロール血症が典型的なものである。

 

このように、私たち人間など、有性生殖をする生物は、無性生殖生物に対して増殖が遅い、という欠点があるものの、遺伝的多様性が生じるため、環境変化に対応しやすいという大きな利点を持っている。