ラットの解剖 感想 B26

 私は最初、これから一ヶ月ほどお世話するというラットに出会ったとき、正直可愛すぎてその一ヶ月後に起きることなど全く想像が出来なかった。毎日のお世話はとても楽しかった。たまに赤い目で鼻をヒクヒク動かしながら私を見つめてくるのが本当に可愛かった。私の育てた子はメスだったのだが、初めてオスと一緒にケージに入れたとき、最初はけんかのようなことをしていて少し不安になったが、数分後には二人で並んで大人しく鼻をヒクヒクさせていて、顔を向けている方向も一緒で、仲良くなったようだったのでとても安心した。

 解剖の日はあっという間に来た。はじめに河合先生の講義を聞いて、ラットの特徴や体の仕組みなどを知った。その後、まずは例として河合先生の解剖を見た。先生の解剖を見たときは、ラットが解剖され臓器がどんどん取り出されていくのを見ても気持ちが悪いなどの感情は一切なく、ただすごいなと感じ、その後に自分がこのように解剖が出来るのかが不安だった。しかし、解剖を始めてみると意外とそこまで難しくはなく、きれいに臓器を取り出すことが出来た。どこにどの臓器があるのかや、どんな形をしていてどんな色なのかなどが実際に自分の手で解剖してみることでとてもよく分かった。そして子宮には赤ちゃんがたくさんいたので、二匹だけ子宮から取り出して膜を取って双眼実体顕微鏡で見てみた。するとしっかりと頭から尾まではっきりと分かって、心臓もまだ動いていた。この心臓もやがては止まってしまうのだなと思うと、改めて自分がラットを殺したのだなという気持ちがわいてきた。

 解剖した後は、取り出した臓器を元に戻して、新聞紙に包んでかごに積み重ねて終わった。解剖の時間も自分の中ではほんの一瞬の時間だったように思える。しかし、この数時間で得た経験や抱いた感情は、今後忘れられないものとなると思う。