ラットの解剖 感想 B42

 一か月前、小さくてかわいいラットに出会った。幼稚園で妹がモルモットを飼っていたのを少し思い出しながら、すぐに真っ白な体と赤い目に惹きつけられた。

 

 この一か月間、毎日少しずつ大きくなるラットを見て、一つ一つの挙動に可愛いーと心の中の声が駄々洩れの状態で呟いていた。ペアにしてケージに入れた初日はオスとの対格差に驚き、心配していたものの、週明けには、仲良く暮らしていたのでほっとした。

 

 そうやってこの1か月間ラットは癒しを届けてくれたが、解剖当日の私は冷静だった。合先生が初めのラットを瓶に入れ、ラットが息絶えていくときは少し無残な姿に心を打たれたが、その後の先生の素早い手さばきと内臓を見ると、好奇心が優っていった。

 

 「気持ちで負けるとラットにそれが伝わって更なる苦痛を呼ぶ」この言葉を胸に私のラットの解剖は始まった。瓶から取り出して皮、お腹と切っていくと、パンパンに詰まった内臓と胎児が連なった形で入った子宮が見えた。きれいだった。胸も開けると肺がきれいに見えて、心臓がかすかに動いていた。思わず写真を撮っていた。

 

 ただ、その後肝臓を取り出す作業に入ると、血管から血があふれ、川合先生が難なくやっていたように見えた一つ一つの作業に精神と体力を奪われた。難しい部分があったものの、ラットの前ではもっと知りたい、見てみたいという想いが先行し、時間があっという間に過ぎていった。脳も含めて全部の臓器を取り出したとき、終了となった。肝臓と消化管の大きさ、重さに驚きながら、小さい小さい心臓が、この体全身に血液を送っていたんだと思うと不思議だった。

 

 今回、胎児も含めると、16匹の命をいただいてこの解剖を行い、学ぶことができた。臓器を元に戻し新聞にくるんだ時、改めてそれを感じ、将来人や動物に貢献する仕事をすることで返していきたいと思った。