長島愛生園 見学感想 1年生(A14)

 「元患者さんたちは可哀想な人ではなく、強く生きてきた人たち」と学芸員の田村先生は仰っていた。元患者さんのお話を伺うと自分の中でその言葉が腑に落ちた。彼らは生活改善に関する運動を自らの手で行われた。昔は労働に従事しなければならなかった時間を、今は自分のために使っていらっしゃる。今回お話を伺った方は今は良い生活をしているとも仰っていた。また、島外から来る人との交流も楽しみにしているとも仰っていた。もし私たちの訪問も楽しみにしてくださっていたら嬉しいと感じた。

 帰りのバスの中で、愛生園に行かなかった友達と連絡を取り合っていたときのこと。その友達もあまりハンセン病について、あまり知らなかった。らい、という言葉が差別的であることを知らず、彼女曰くテレビでもらい病と言っていたと。今、私がハンセン病について学びを得ることができたのは貴重だったことがわかる。まだまだ周知が少ないことを思い知らされた。そして何も、ハンセン病の問題に限ったことでは無いとも感じた。どのような状況においても人間の尊厳を侵してはならない。それはきっと、理性を持つ人間には簡単に理解できることであるはずだ。しかし現実を見てみればそうではない。やはり人は弱者を下に見て自分の利権を守りたがる生き物なのか。しかしそれに抗う知性を持つ生き物もまた人である。私がまずそんな人間になろうと決心した。現地で元患者さんのお話を聞くまではなんとなく構えていたらしい。彼は普通のおじいさんだった。ただ私とは比べ物にならない経験をなさっていて、その経験をたくさん伝えてくれるおじいさんだった。長島も静かで心が安らぐ島だった。また行きたい、というとおかしい気がするが、長島に行くことで元患者さんの強さに触れられて安心できるのではないかと思う。