活動記録 4/18 A19

 今回の授業では、生命操作をテーマに、グループ討論を行いました。胚選別やドナー・ベビーなど、遺伝子研究の進歩にともなっておこりうる可能性のある問題をとりあげ、議論を深めました。はじめに話し合ったテーマは着床前遺伝子判断と胚選別についてでした。これは、病気を発症する確率の高い胚を特定し、安全な胚を選別して着床させることのできるという技術です。私は、この問題について、はじめは肯定の意見を持っていました。病気や障害を持つ可能性が高いと分かるのならば、その技術を活用し、最終的な判断は親が行う権利があると考えたからです。話し合ったメンバーの中でも肯定の意見が多く出ました。しかしその後、クローン・ベビーやドナー・ベビーなどまで進んでいくと、だんだん自分の意見が分からなくなってきてしまいました。この二つについては、許容できないと思ったし、話し合った中でも多くの人が同じ意見でした。カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』などのイメージもあって、クローンなど、人工的に作り出す命に対して抵抗を感じていることに気づきました。この感情は、倫理観から生まれているものだと思います。しかし、それをふまえてもう一度、倫理という視点で考えると、はじめは肯定の意見を持っていた胚選別についても、許されることなのだろうかという揺らぎが出てきました。また、一番感じたことは、許容範囲と禁止すべきことの境界線がものすごく難しいということです。人によっても意見が異なるし、じぶんのいけんでさえ、視点を変えてみるとすぐ揺らいでしまいます。加えて、一度何かを許してしまうと、おそらく確実に、法律などの力で止めようとしても、その技術の進行を止めることはできないという事です。それならば、早い段階で禁止するべきでは、という考えもでできます。しかし、人の役に立つ面も多くある技術を、将来への不安という理由で利用しないことは違和感も感じます。このように、結局自分の意見を確定させることができませんでした。
 今回の授業では、正解のない問題に誰もが悩み、苦しみました。しかしそれは、私にとってすごく有意義な経験となりました。今までぼんやりとした考えしかもっていなかった問題に対して、はじめて正面から向き合うことができました。議論は難しいけれど、友達と真剣に話し合うことのできるすごく貴重な時間だと思います。これからの一年がすごく楽しみになりました。