言葉でいえない重み          3C 27 大阪らばー

『これが生命なんだ』胎児を子宮から出したとき、私は強く感じました。

解剖が始まってから妙に冷静な自分が怖かった。
はじめ、目の前で瓶の中で失われてゆく命に脆さと恐怖を感じ、瓶からしっぽを持っても動かない身体を、自ら取り出すことができませんでした。ものすごく抵抗がありました。世話をしているとき、バッドから出ないようにと神経を使ったあの元気なネズミたちの動きは、こんなに簡単に止まってしまうのか、と。しかしいざはさみを入れると、あたかもそれは“物”であるかのように、私は夢中で臓器を捜していました。 『食道はこんな風につながってるんや』 『腸なが!!盲腸でか!!』
頭部を開けたときも、“美しい状態で摘出したい”と考え、そのことに全神経を集中させ、摘出したときには達成感さえ感じていました。

子宮から胎児を出したとき、はっとしました。大きな頭に小さな手足、細い尻尾。これから外の世界で生きるはずだった19もの命。正直、親ネズミを殺したということよりも衝撃が走りました。言葉ではうまく言い表せないけど、ありきたりな言葉で言えば命の重さっていうのかな。でもそれだけじゃとても収まらないです。

最後にマウスを埋め手をあわせたとき、涙がでました。何をしたんやろ、殺してしもたんや。忘れていた感情がこみ上げてきました。私は自らが学ぶために20もの命をいただきました。彼らから学んだこと・感じたことは、資料では決して分からないことです。貴重な経験をさせてくれてありがとうございました。

山中先生、助手の先生方、森中先生、宮川先生、実習前の自分と今の自分では、命に対して明らかに考えの深さが違います。ほんとうにありがとうございました。