春休みの課題  ハンセン病を生きて ―きみたちに伝えたいこと ― 伊波敏男 著 (岩波ジュニア新書) を読んで  (1)

ハンセン病という病気について、そして日本の過去の過ちについて私はこの本を読むまで知らないことがとても多かった。一度聞いたことがある病気だが、結核などの病気と同じ類のものだと思った。ナチス強制収容所と同じじゃないかと感じ、このような事実を知らなかった自分に恥ずかしさを覚えた。私が産まれて間もないころの日本でこのような間違った偏見のせいで当然と思われている権利を失っていたという事実は驚きが隠せない。人権について、私は高校1年生の時に政経の授業で習った。すべての国民は自由に生きる権利がある、私たちは法の下に平等である、と。そんなこと当たり前だろう、わざわざ習うほどのものでもないと思った。だがこの本を読んで考えが変わった。なぜ国はこんな理不尽な法律を通してしまうのだろう、憲法違反ではないのか?国民も薄情だなぁ、と。「人権」という基本的かつもっとも重要な権利に対しての難しさも感じた。すべての人が平等など無理なのかもしれないということも少し思ってしまった。人というのものは誰かを自分より下位と思うことで優越感を感じて生きる活力を得るのだ、と雑誌で読んだことがある。確かにこの事実を知れば信じざるを得ないのかもしれない。だがそれを国が認めてしまうのはおかしい。のちに訂正をしたとしてもだ。国や医療機関が安全と言い張っても一度出回ってしまっている嘘や噂は変えることが難しく、流されやすい日本人の性格が悪い面で表れている。もしも自分がその時代にハンセン病だったらと思うとこわい。家族のために苗字を変えなければならない、結婚するというだけで世間からの批判をかってしまう、子供は何も悪くないのに「親がハンセン病らしいぞ」ということだけでいじめを受ける。そして何よりもつらいのは、自分が自分でなくなるということだ。狭い病舎に閉じ込められ、自分と同じ立場の人と少しの看護師さんしかいない。その生活が何年、いや何十年も続く。自分の存在価値というものを疑ったりするかもしれない。正直精神力が尋常でないとやっていけないと思う。それほどの驚きをこの本から学んだ。そのためこのような病気についてもっと国民が関心を持ち、正しい知識を身に着けることが過去の過ちを繰り返さないようにするために大切なことだと思う。年配の方々は今ハンセン病について覚えているのだろうか?自分には関係のないことだ、国家賠償裁判なんてまた国がやらかしたのか…と思っている方も多いのではないか。実際私の祖母がそうだった。本を読んだという話をしたら、こう言っていた。このような認識はよくない、と思った私はこの本を読むことを勧めた。つい先日のことなのでまだ読んではいないと思うが、患者の観点からの時代背景などは衝撃を受けるだろうと思う。祖母と話せる日を楽しみにしている。だが年配の方ですらこの有り様なら中年代、若者などは知る由もないのではないか。学校でも教わらない、両親や祖父母、身近なひとは誰も知らないとなると当たり前だ。日本史を学ぶように、国の有り方や過去の政府や議会にあった問題を人々は学ぶべきだ。国民全員が知ることで未来への抑止になる。過ちを繰り返さないためには過去をしることが重要なのだ。ハンセン病のことに関わらず、様々な過去について私たちはこれから生きていく中でたくさんしらなければならないと思う。著者の方が実体験をこのように本に書いてくださったことで、後世に様々な記録を伝えていくための重要な手段が一つできた。この事実を風化させないためにも様々な病気や差別への偏見をもう一度見直して、正していく必要がある。これからの日本のためにも、そして自分の考えを正すためにも、私はこれからの人生で様々なことに目を向けていきたいと感じた。まずはこの一年間、生命論を通じて命というものに対しての知識を深め、教養を豊かにしたい。